「ワンダーフェスティバル2025年Winter」レポート
今回は予定を変更して、2/9に開催されたワンダーフェスティバル2025Winterと、その公式ステージの企画「タツノコ制作分室と『赤い光弾ジリオン』〜時代を超えて愛される作品の魅力〜」をレポートしたい。
ワンダーフェスティバル(以下ワンフェス)は海洋堂が主催する、造形作家が集う販売イベント。業界最大のイベントであり、コミックマーケット等と違って個人でも商品を公式の許諾を受けて販売できるという、プロとアマチュアの垣根を取り払った画期的なシステムが特徴だろうか。
今回のワンフェスではタツノコプロとのコラボレーションである「タツノコワンフェス」の企画が事前に発表され、ここに普段は許諾が出ない『赤い光弾ジリオン』が許諾作品に含まれていた。そして個人ディーラーから「許諾出るなら今回ジリオン出します!」という声が上がり始め、ワンフェス公式から「石川光久氏と後藤隆幸氏がジリオンを語るトークイベント」がアナウンスされるに至り、にわかにジリオンファン最注目のイベントとなった、という経緯がある。
以下はジリオン関係を中心とした出展作品、また公式ステージで行われたトークイベントのレポートとなる。
日時:2025年2月9日10時〜17時(トークイベントは13:30〜)
場所:幕張メッセ国際展示場ホール1〜8
ジリオン関係の出展作品:

こげまぐろ。さん 1/12可動アップル
自分で多彩なポーズをつけられる1/12アクションフィギュア。アップルのデザインはTV版の設定画に近く、アクション抜きにしても魅力的。売り子としてJ.J(あいらさん)、アップル(Akiさん)が出迎えてくれる至福のブースでした。

一期一会のハイジンクスさん アップル
こちらは可動しないがサイズの大きなアップル。このサイズにして可能になるディテールが凄い!作者の久我さんによるとデザインは最終話に、ポーズは第4話のラストシーンを参考にしているそうで、水村良男氏っぽい肉感的な身体が眩しい。ブースにはセガmarkIII版ジリオンも。

続・玄米低温貯蔵庫さん 命の時
タイトル通り、第29話のラストで命の時を迎えたリックスを再現したドラマチックな一品。リックスの立体化は非常に珍しく、当時セガから発売されたゴム鉄砲版ジリオンこと「アクションシューティングセット」同梱のゴム人形くらいしか記憶にない。タツノコブースに彩色版が、ディーラーブースには全身グレー版(石化版?)が展示される心憎い演出あり。

J.Factoryさん ジリオン
旧ジリオンがウラシマンのマグナブラスターと並んで登場。サイズは1/2くらいだろうか?バッテリーパックまで再現するのは旧ジリオンならではのこだわりだろう。

climi-くりみ-さん ニュージリオン銃&プロテクターセット
こちらはニュージリオン。サイズは1/3だが重量感があり、「本物」感がある。それもそのはず、原型はプロの方が手がけているそうだ。

roots26さん 1/3ニュージリオン(ノーマル、マシンガンタイプ)、1/12ニュージリオンセット
こちらもニュージリオンだがアップルのマシンガンタイプもラインナップ。1/12ジリオンセットにはチャンプのライフルタイプまで揃っているのが嬉しい。ディーラー自らがデイブのコスプレで「ニュージリオンだ、受け取れ!」をやってくれるサービスも(笑

one upさん J.J
以前ご紹介したビックワンクラフトのソフビJ.Jが今回のワンフェスにも出展。相変わらず他を圧倒する巨大サイズで、ジリオン関係がまとめて展示されたタツノコブースでもその威容が発揮されていた。
公式ステージイベント:
石川光久✕後藤隆幸スペシャル対談「タツノコ制作分室と『赤い光弾ジリオン』〜時代を超えて愛される作品の魅力〜」

今回は以前(こちら)のイベントのトークと重なる内容が多くを占めたため、新情報や筆者が興味を惹かれた発言を箇条書きでピックアップしたい。石川光久氏、後藤隆幸氏についてはこちらやこちらも参照されたい。
・司会は松澤千晶さん。松澤さんはジリオンを知らなかったそうだが、井上和彦さん推しなのでチャンプが気になっているそう
・IG会長の石川さんはベージュを基調としたカジュアルなコーディネート。いわく「チャンプコーデ」とのこと
・今回ワンフェス公式ステージでジリオンを取り上げることになったのは、今回のタツノコワンフェスでジリオンを申請したディーラーが「タイムボカン」等に並ぶほど多かったから。根強い人気を実感した、とのこと
・石川さんは『黄金戦士ゴールドライタン』(1981年)で西久保(瑞穂)監督と知り合った(こちら)
石川氏「ライタン、ウラシマン(1983年)、ドテラマン(1986年)と来てジリオン、という感じ」
・後藤さんは『光の伝説』(1986年)の途中からタツノコに関わるように※。家がタツノコの近所だったのと、石川氏に呼ばれたのが理由
※注 前年の『昭和アホ草子 あか抜け一番!』(1985年)が最初と思われるが、このときは直接の面識はまだなかったか、スタジオに常駐するようになったのが『光の伝説』から、という意味の可能性もある
・石川氏「演出家と作画の相性がある。ごっちゃんは望月(智充)さんと相性がいいので光の伝説のときに呼んだ」(望月氏は『光の伝説』で初めてタツノコ作品の監督を務めた)
・後藤氏「石川とは一緒にスキーに行ったりテニスをやったり。歳も近いし、会社をつくる前から仲良くしていた」
・真下(耕一)監督が『F』(1988年)の頭身が高いキャラデザを後藤氏に依頼したけど断られた
石川氏「ジリオンは西久保さんとやることで、ごっちゃんに頭身の高いキャラクターも描ける実力を見せて欲しかった」
後藤氏「それは前後関係が違う。Fを断ったのは他の仕事で忙しかったから」(時期的にはOVA『ザ・サムライ』(1987年)から『赤い光弾ジリオン 歌姫夜曲』(1988年)の時期?)
・石川氏「ジリオンは(演出家と作画監督が)第1話が西久保さんとごっちゃん、第2話が押井(守)さんと浜ちゃん(浜崎博嗣氏)。これで行ける、という手応えを得た」
・石川氏「ごっちゃん、浜ちゃん、水リン(水村良男氏)、みんな仲良くしてたし、愛称で呼んでた。黄瀬(和哉氏)とか沖浦(啓之氏)とかは生意気なので呼び捨て」
・石川氏「(脚本の)伊東(恒久)さんはグズラ(『おらぁグズラだど』1967年)とか『ハクション大魔王』(1969年)の頃からギャグをやってて、伊東さんも山崎(晴哉)さんも『あしたのジョー』(1970年)の脚本をやっている。ふたりともなんでも書ける人。ジョーには西久保監督も参加(『あしたのジョー2』1980年)していて、ギャグも含めてよくできていた」
・石川氏「1986年の年末に忘年会というか、なかばお別れ会みたいなのがあって。それが終わったとき、(頭の中に)稲妻が走ったんです。そこから数日でジリオンのメインスタッフとなる人たちを口説き落とした。正月には八王子の喫茶店で、西久保監督とずっと『あしたのジョー』の話をしていた」
・石川氏「やる気はあったけどとにかく予算はなかった。自分は大きな借金をしたし」
・後藤氏「キャラデザは買い取りだからヒットしても儲からない。ギャラも安かった(笑」
石川氏「ごっちゃんのキャラを使いたかった。お金は出せなかったけど、チャンスをあげられたかな、と」
・松澤氏「低予算でこれだけの作品が作れるものなのでしょうか?」
石川氏「それが作れた。京アニ(仕上、制作協力の京都アニメーション)の予算管理は本当にスゴイ。この金銭感覚なら、低予算でもクオリティの高い作品が作れる、と学ばせてもらった」(実際、制作分室や初期アイジーの経理は京アニが担っていたそう
・後藤氏「石川に一緒に会社を作ろうって言われたとき、会社で権利を持てば絵を描くのにいちいち許可を取ることもいらなくなるのでは、と思って」
・松澤氏(今回新規に描かれたホワイトナッツ3人のイラストを見せながら)「今回のイラスト、久しぶりに描かれていかがでしたか?」
後藤氏「今回の絵は当時のキャラ表を見ながら、原画風に描いた…んだけど、似ない(笑」
石川氏「手を描くのって難しいんだけど、さすが上手いなって。3人とも手が入ってる」
・松澤氏「今回ジリオンがまた注目されてますが、どうでしょう、今後の展開などは?」
石川氏「38年も前の作品を覚えていていただいて、本当ににありがたいことだが、リメイクとか続編とかはないと思う。でも、今回のようなコラボとかは今後もあるのでは」
コラボには期待できる、とのことなので、個人的には、以前にドテラマンやウラシマンであったような、現役マンガ家による公式外伝などを期待したい(そろそろジリオン好きのマンガ家さんも年齢が上がってきているので…)あとは公式LINEスタンプをぜひ!

トークイベント参加者には、このイベントのために描かれた後藤隆幸氏のホワイトナッツイラストが配布されるという大盤振る舞い。やや大人になった令和のホワイトナッツが美しい。

タツノコワンフェスブースに設置されたヤッターマンの三輪車にJ.Jとアップルがまたがるワンシーンも。
トークイベントにはジリオンファンが多数駆けつけ、さながら去年の上映会以来の同窓会の趣まであった。ディーラーの方々に伺ったこだわりポイントと、その込められた思いにも唸らされた今回のワンフェス、入場トラブルなどの問題はあったものの、ジリオンファンとして非常に満足度の高いイベントだった。願わくば、今回のみならずジリオンの許諾が続くことを期待したい。
次回は、何度もの延期を経て昨年10月に遂に発売されたトライチャージャー&J.Jのレビューを予定。