ZILLION ARCHIVE ROOM(Yahooブログ移行版)

Yahooブログから流れてきたTVアニメ『赤い光弾ジリオン』非公式ファンサイトです。元々は放映30周年を記念する週刊ブログでしたがそのまま不定期で続いています。

バットマン・ドテラマン・メガテン ~ジリオン・ジ・オリジン(1)~

日曜朝10時からの『赤い光弾ジリオン』の放映枠は、直前の1987年3月までは海外アニメ『電光石火バットマン』が放送されていた。この『The New Adventures of Batman』(原題)はアメリカで製作され、日本語吹き替え版が1クール12話のみ放映されている。
 
 
当時の日本テレビには、こういったオシャレ洋楽志向があったのだろうか。この日本オリジナルのオープニングソングのアレンジは、このバットマンから連続してジリオンを手がけることになる入江純氏による。
ドラマ『あぶない刑事』を当時ヒットさせていた日テレには、ルパンやキャッツアイ、ジリオンと同時にスタートしたシティハンター、そしてのちの名探偵コナンへと脈々と続く「刑事-泥棒アクション」アニメの伝統があり、ディテクティブコミック出身のバットマンはその系譜に繋がる人選とも言える。
また、これは偶然だろうが、バットマンの協力者である「ゴードン」署長はジリオンの「ゴード」長官の元ネタの可能性が高い。同じタツノコ製作の『未来警察ウラシマン』(1983年)でも主人公チームのボスとして「権藤(ゴンドー)」警部が登場しており、タツノコ流ダジャレネーミングの伝統を感じる。ちなみにタツノコ作品の多くに出演していた権藤警部役の大平透氏は、当初Mr.ゴード役にも想定されていたらしい。
 
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電光石火バットマンのゴードン、ウラシマンの権藤警部、ジリオンのMr.ゴード
 

日本テレビジリオン直前の2月まで放映していたタツノコ作品が『ドテラマン』だった。ジリオンでも演出として腕を振るった貞光紳也氏のTV初監督作で、こちらもジリオン作画監督として大車輪の活躍を見せた水村良男氏が初めてキャラクターデザインに抜擢された作品でもある。制作は石川光久氏、プロデュースに植田元基(もとき)氏、演出にはうえだひでひと氏ややまざきかずお氏らも名を連ね、ジリオンとは非常に縁の深い作品と言える。
また、この作品のゲストキャラ「サイコーユ鬼」がアニメファンに人気となったことは有名だが、これは後藤隆幸氏の斉藤由貴好きを知っていた貞光監督が特にこのエピソードの作画を後藤氏に回したのだという。タツノコ緑髮ヒロインとして、エイミの原型であるとも言えそうだ(声はアップル役の水谷優子さん)。
 
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アニメージュ1987年4月号「こまったユ鬼ちゃん」(作・後藤隆幸)第1話より
 
『デジタル・デビル物語 女神転生』はジリオンの始まる3週間前の1987年3/25に発売された、徳間書店アニメージュ文庫刊の同名伝奇SF(西谷史著)が原作のOVA。いまとなっては、アトラスのRPGシリーズの原典としてのみ著名かもしれない。
OVAの企画も徳間で、プロデューサーとして「ジブリ以前」の鈴木敏夫氏が(押井監督の『天使のたまご』に続き)名を連ねている。
 
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『デジタル・デビル物語 女神転生』DVD版パッケージ(amazonより引用)
 
アニメーション製作はJ.C.スタッフ。元タツノコの宮田知行プロデューサーがキティフィルムから独立して立ち上げた会社で、キティ時代に宮田氏と何度もコンビを組んだ西久保氏が監督に据えられた。スタッフ的にも「西久保組」ともいえる原画の井口忠一氏や奥田万つ里氏、色彩設計遊佐久美子氏らが名を連ね、本作の追い込みと並行して製作がスタートしたジリオンでも、引き続き西久保監督をサポートしている(奥田氏は歌姫夜曲のみ参加)。
 
これら作品の影響を残しながら、『赤い光弾ジリオン』はスタートした。ジリオンの持つ独特な魅力、その秘密の一端には、既存のメカアクション作品と異なる本作の成り立ちがありそうだ。
 
次回は、ジリオンチーフディレクター西久保瑞穂監督のフィルモグラフィについての第一回、タツノコ時代編。