幻の「スーパーボンボン」と、ジリオンのコミカライズ
『赤い光弾ジリオン』オープニングより、掲載誌のクレジット
スーパーボンボン1987年5月号より
講談社「スーパーボンボン」は当時人気を博した児童向けマンガ雑誌「コミックボンボン」の増刊号。コミックボンボンは昨今の少子化もあり2007年に休刊しているが、スーパーボンボンはさらに短命で、1987年5月の創刊号から隔月刊でわずか1年余、8冊を発行したのみでその姿を消した。
そんなレア雑誌ながら、ジリオンは毎号31ページの連載を続け、1988年1月号でマンガ版オリジナルとなる最終回を迎えている。単行本こそ未発売だったものの、読者人気も高かったようで、タイアップ作品ながら放映終了後も多くのハガキが編集部に届いたようだ。
スーパーボンボン1987年5月号より
スーパーボンボン1987年5月号より
アディが初期設定の「ロコ」という男の子になっており、その後もレギュラーとして登場する
スーパーボンボンのマンガ版とは別に、コミックボンボン本誌にも毎月ジリオンのページがあった。バックに付いたのが新興企業のセガ故か、本誌での扱いはあまり良くなく、ひと月あたりの紙面はわずか9ページ。そのためマンガにはできなかったようで、ストーリーの前半はテキスト主体でクライマックスのみがマンガ、という「変則絵物語」とでもいうべき特殊な構成となっている。
コミックボンボン1987年8月号より
オリジナルの敵キャラクターが登場している
関島氏によるストーリーはアニメ版よりもハードな印象で、軽やかな青春モノだったアニメ版とは印象の異なる熱血アクションとなっている。スーパーボンボン版では描かれたJ.Jのコミカルな側面もほとんど触れられず、最終回も打ち切りのような形で幕を閉じた。
スーパーボンボン版ジリオン最終回
スーパーボンボン版でもアニメ版にあったジリオンの発動はなく、ノーザを撃退して完となっている
1987年当時、小学館のライバル誌「コロコロコミック」は藤子不二雄氏を擁して多数のアニメ化作品を連載していたが、このコロコロに対抗するためにボンボン-講談社が担ぎ出してきたのが赤塚氏だったらしい。その思惑は大いに当たり、テレビでも『おそ松くん』や『ひみつのアッコちゃん』(ともに1988年)などのリメイク作品が大人気となった。
ジリオンのメインスポンサーだったセガは読売広告社とともにこの赤塚プロジェクトにも参加しており、マスターシステムで『天才バカボン』、新機種メガドライブで『おそ松くん』(ともに1988年)と2本のゲームソフトを発売したが、同じセガ&読広によるジリオンの後継企画『超音戦士ボーグマン』(1988年)はこのボンボンの路線変更のあおりをモロに受けることになった。ボーグマンが打ち切りとなった理由は玩具売上の不振といわれているが、このボンボンの変節もその一因であるかもしれない。