アニメディアの描き下ろしイラスト(1987年分)
アニメディア1987年6月号より
学研「アニメディア」は1981年に創刊し、現在も刊行中の老舗アニメ誌。1987年のジリオン放映当時におけるアニメ情報誌はジ・アニメやマイアニメ、アニメックが相次いで休刊、アニメージュ、ニュータイプ、OUTと合わせて4誌まで減少していたが、その中でもっとも低年齢層を意識していたのがアニメディアだった。
今回はその1987年分を、一部の記事内容も含めて紹介したい。放映終了後の翌1988年になるとOVA歌姫夜曲含めより多くの版権イラストが掲載されているが、そちらはまたの機会に。
アニメディア1987年3月号より
アニメディアにおけるジリオンの第一報はこの3月号(2月10日発売)と思われる。以前にも紹介した(こちら)『シューティングハンター ジリオン』時代は、主にコスチュームカラーが異なるほか、足のプロテクターがゴツく、放映された本編よりもっとミリタリー色が強い印象を受ける。
アニメディア1987年4月号より
こちらもまだ放映前の4月号(3月10日発売)。タイトルこそ正式なものとなっているが、トライチャージャーが準備稿である他、J.Jやチャンプの右肩にもなにか装備があり、まだ設定が固まっていなかったようだ。記事には読売広告社の大野プロデューサーからのコメントがあるが、こちらも放映された内容とはかなり異なる。「ギャグは期待薄」とした編集部の分析も見事に外れ、ジリオンはロマンスやお色気においてさえも予想を大きく裏切って視聴者を楽しませてくれることになる。
アニメディア1987年5月号より
放映直前の5月号(4月10日発売)には後藤隆幸氏描き下ろしのピンナップが掲載。記事は「読者が選ぶ期待の新番組」だが、ジリオンはそのノミネート5作品のうちブッチギリの最下位。ここから1年後には読者人気の一位になるのだから、その下剋上っぷりにおいてもジリオンは特異な作品だったといえる。
アニメディア1987年6月号より
6月号は大充実。2号連続で後藤氏の描き下ろしイラストが登場。凛々しくセクシーなアップルと主人公らしいJ.Jの描き下ろし、他に新番組として設定資料が掲載されている。
その設定資料は、チーム名が「ホワイト・ナイツ」だったり、J.Jの設定がWNのチーフだったり、まだ随所に混乱が見られる。また、タツノコ側プロデューサーである岩田弘氏のコメントもあり、「明るい娯楽活劇に」は見事その通りの作品になった。ジリオンにおける岩田氏の影響は意外に大きかったのかもしれない。
アニメディア1987年6月号より
アニメディア1987年7月号より
7月号には浜崎博嗣氏の手になるピンナップが登場。浜崎氏のアップルはセクシーなものが多いが、このピンナップもその上位に位置づけられるだろう。
記事はアニメにおけるリーダー論。ここでも前号に続き、これまでの「J.Jがリーダー」という設定が正式に否定されている。
アニメディア1987年7月号より
アニメディア1987年8月号より
8月号では遂にジリオンが表紙を飾っている。本編と離れたシチュエーションであり、またTVシリーズの版権でJ.Jとアップルがカップルとして描かれることは珍しいが、アニメディアでは編集者が絵の内容をオーダーするそうなので、このテーマは編集部の希望なのだろう。のちにマンガ家、イラストレーターとして知られることになる かのえゆうし氏がこの号で同じカップリングのイラストで投稿をしているのも興味深い。
また、記事ではのちにジリオンの多くの版権を手掛けることになる戸部敦夫氏のイラストが初登場。
アニメディア1987年9月号より
9月号には作画監督 松本勝次氏の珍しいイラストが登場。別ページのファッション特集には後藤隆幸氏によるウェディングドレス姿のアップルが掲載されている。ちなみに、のちに後藤氏自身が手掛けることになるOVA歌姫夜曲でのドレスとはデザインが異なる。
アニメディア1987年9月号より
読者投稿ページ「アニメアイ」の扉もジリオンだが、このコーナーには仕掛けがあり、投稿ページ全般にわたって扉絵のネタをページ左上の小さいマンガで続行している。これは今回確認していて初めて気が付いたのでまとめてご紹介。
アニメディア1987年10月号ふろくより
10月号のふろくには以前にも紹介した(こちら)ポスターが登場。原画は沖浦氏。
他にも別冊「ジリオン99の謎」がふろくに登場しているせいか、記事には版権イラストはなし。
アニメディア1987年11月号より
アニメディア1987年11月号より
アニメ誌らしい、キャラクターへの架空インタビューページにはエイミが登場している。
アニメディア1987年12月号ふろくより
アニメディア1987年12月号より
本誌記事は2ページと少ないが、イラストは黄瀬和哉氏による描き下ろしであり、アニメディアの力の入れようが伺われる。黄瀬氏は以前に触れたように(こちら)ニュータイプの描きおろしで版権イラストデビューを飾っており、満を持してのアニメディアへの登場となった。
翌1988年1月号では黄瀬氏の初表紙となるJ.Jが登場するが、それはまたの機会にご紹介したい。
次回は息抜き編。Twitterでネタになっていた「主人公名の表記揺れ問題」を追求予定。