「祝!作品誕生35周年突破!池袋決戦『赤い光弾ジリオン』対『超音戦士ボーグマン』」イベントトークショーレポート(2)
今回も、「『赤い光弾ジリオン』対『超音戦士ボーグマン』」イベントのキャストトークショー部分のレポートをお届けする。また上映イベント自体と、ロビーの展示物などについてもごく軽くご紹介したい。(前回のクリエイター編レポートはこちら)
キャスト編のトークゲストはジリオンのチャンプおよびボーグマンのチャック役の井上和彦氏と、ボーグマンのアニス役の鷹森淑乃氏のお二人。
以下のテキストも前回同様、メモを元に発言の前後関係を入れ替えるなどの再構成を行っており、言い回しやニュアンスは実際の発言とは異なること、一部表現を変更している部分があること、また筆者はボーグマンの知識は乏しいため根本的な間違いがある可能性、などにご留意いただきたい。
今回も原稿チェックにご協力いただいた エイジ88さん、ありがとうございました。間違いがあった場合の文責は筆者にあり、ご遠慮なくご指導、ご指摘いただければ幸いです。
日時:2024年4月13日14時~19時
場所:新文芸坐(東京 池袋)
キャスト編のトークショーは17:35から
―司会(ロボ石丸氏)新文芸坐の人に(チケット)料金高くない?と言われたんですけけど…3時間で完売した後に(笑)
あ、こちらの画像、せっかく作ってもらったのでぜひ撮ってください。他では使ってないので
(声のみ)
「あっれ~?池袋に集合、ってアップル言ってたのに、いないじゃないの」
「おっ、かわいい子がいるじゃない。お嬢さん、僕とお茶でもどう?」
(ここからチャンプとアニスの寸劇が開始。アニスがチャンプをチャックと間違え、チャックの偽物=妖魔ね!?となるお話)
井上和彦氏(以下井上)チャンプとチャック役、井上和彦です。よろしくお願いしま~す
鷹森淑乃氏(以下鷹森)アニスを演じました、鷹森淑乃です
井上 いやぁ、この寸劇、急に話が決まったんでね(笑)
鷹森 本当にいきなりで(笑)リハーサルもなしの
井上 ぶっつけ本番でね。まあまあ大変だったけど、キャラのセリフを言わされるよりはマシかな(笑)でも、楽しんでもらえたようで良かった
鷹森 私も楽しかったです!
―いま80年代特有の空気感、あの頃の音楽やファッションなどの文化が見直されていまして。その流れで、ジリオンとボーグマンが来る!と思ってました
井上 そうなんだ、やるなあ。…みなさん、ご覧になってどうでした? 懐かしかったですか?(会場拍手)
鷹森 大きいスクリーンで見るとまた違いますね。そう私、ボーグマンより前にも和彦さんとお仕事ご一緒してるんですよ
井上 皆さん、わかります?…アルペンローゼ(笑)(『炎のアルペンローゼ ジュディ&ランディ』1985年)
井上 当時の印象はね、目が大きくてカワイイ女の子だと思った。こんなカワイイ娘がいるんだ!?ってね
鷹森 その次がマシンロボ(『マシンロボ クロノスの大逆襲』1986年)で
井上 マシンロボ…僕、出てましたよ(会場爆笑) ※井上氏は主演
鷹森 私マシンロボで、旅行先ではしゃぎすぎて怪我をしてしまったことがあって。収録も松葉杖だったんです
井上 そうだっけ、覚えてないなぁ
鷹森 いなかったんでしょうか?
井上 いないわけないでしょ!(笑)「パイルフォーメーションっ!」とか言って、バイカンフーで忙しかったんだよ。「人それを骨折と言う!」(場内爆笑)
―ジリオンのチャンプのあとにボーグマンのチャック。ルックスも似たキャラクターですが、どのような違いを意識されましたか?
井上 それ聞く?(笑) チャックとチャンプの違いね…顔も似てるし、どっちも金髪だし、違いは…ない!(会場爆笑)
井上 この頃は、主人公を支えるような脇役をやりたかったときでね。ジリオンもオーディションで、そこにチャンプがハマった。それまでも『ムテキング』(1980年)とかね、タツノコ関係をよくやってたから、オーディションは落ちる気がしなかった。…今は落ちまくるけどね(笑)
井上 チャックは本当は(演技を)変えたかったのよ。でも、同じポジションで、同じような役を求められたから、「やりましょう」と(笑)
井上 当時はみんなでテスト、ラステス、本番、で3時間くらいの収録だった。(音響監督は)ジリオン、ボーグマンとも清水勝則さん。優しい人でね、アドリブで「オッケー!」と言われると、自分も調子に乗ってどんどん(アドリブを)やっちゃう(笑) ジリオン21話のチャンプのセリフ「あたしキレイ?」はクリィミーマミ(『魔法の天使クリィミーマミ』1983年)の立花慎吾だよね(笑)
鷹森 アニスは「普通っぽさ」を意識してました。先生ではあるんですが年齢を意識することはしないで、キャラを作るよりも「普通の女の子」として、作らずに演じました
―鷹森さんには、とある本でインタビューをさせていただいて。もう2年前ですかね、突撃アポを快く受けていただいて ※客席の最前列でご本人が悶絶していたそう
鷹森 昔の作品をまだ好きでいてくださって、インタビューのお話も頂けて。こんなに嬉しいことはないですね
―共演の方で印象深い方はいらっしゃいますか?
井上 …ジリオンでは、やっぱり…水谷優子ちゃんと、本多知恵子ちゃんね。…見直すのが辛いんですよ、ジリオンはみんなで旅行行ったり仲良くしてて、チームワーク良かったから。旅先の海でジリオンを撃ち合ったりとか
―クリエイター編でジリオン銃がもらえなかった、という話が出てましたが
井上 自分も貰えなかった、出演者なのに(笑)けど、社販で割引はあるっていうので(笑)みんなで買って、新宿とかで撃ち合ってた。スゴイ射撃音がしてねえ
(客席のジリオン持参客から実物の作動音を聞かせてもらうことに)
井上 …あれぇ、こんな音だっけ!?故障じゃなく?…なんかがっかりだなぁ(笑)
鷹森 私、ジリオンの打ち上げに参加してたような気がするんです。出演はしてないんですけど、打ち上げだけ。…あれ、なんか私図々しくないですか!?
井上 あぁ、でも良くあったよ。たてかべ(和也)さんなんか、「和彦、ちゃんとやれ」とか言って色んな打ち上げに来るんだけど作品に出てないの!(笑)
―アニスは当時すごい人気でした
井上 それはアレでしょ?「ボーグ・ゲット・オン!」の後のあの…(場内笑)当時の男の子、かなりやられたんじゃない
―鷹森さんはどう感じられました?
鷹森 …不思議なことなんですけど、ちょっと恥ずかしいな、って。自分じゃないんですけど、自分でもある、というか。…なので、恥ずかしかったです(笑)
―どのあたりで人気を実感されました?
鷹森 ファンレターをたくさんいただいて、雑誌のインタビューとかも来るようになって。あ、本当に人気なんだ、って
―特に、チャックのガッシリした装着シーンの後にアニスの問題のシーンですから(人気が出た)
井上 ロボットを人間にするのは、羽原さん得意だから(笑) 水谷さんのやられてた僕の妹(マシンロボのレイナ)が、いつの間にか髪の毛が伸びてたり
―そこも少しつながりあるんですよね、ライトニングトラップ(OVA『ライトニングトラップ レイナ&ライカ』1990年)って作品で。…実はこの企画、最初は「ジリオン対ボーグマン対剣狼伝説(OVA「レイナ剣狼伝説」シリーズ。1988〜1989年)」だったんですけど、とっ散らかってしまうので
井上 それ全部俺じゃん(会場爆笑)
―サンダー役の山寺宏一さんも全部出てらっしゃいますね
井上 山ちゃんは出てきたときからすごくてね。マイケル・ジャクソンのモノマネでウケてた
鷹森 山寺さんホント上手いですよね、犬とか動物とかも。動物って本当に難しくて。皆さん、家で練習とかしてるんでしょうか
井上 え、するでしょ!?俺『ドラえもん』(1979年~)で犬役とか練習したよ
―お時間も残り少なくなりました。ジリオンは2387年ですが、ボーグマンは2030年。その時には、またなにかやりたいですね!(会場拍手)最後にお二人に、今回の感想や告知などいただけましたら
井上 当時の作品には独特のパワーがあるよね。こういった場に呼んでいただき、感謝してます。またこういう機会がありましたらぜひ呼んでください。あと、僕デビュー50年ということで本を出しまして、「どうして井上和彦ができたのか?」の理由が詰まってます。ジリオンについても書いてありますので、…ボーグマンは…あったかな…(笑)このあとそこ(新文芸坐ロビー)で販売しますので、ご興味ありましたらぜひお手にとっていただければ
井上 あともう一つ50周年企画で、8月23日に博品館で関智(関智一氏)と二人芝居をやるのでぜひ来てください。いい加減な二人ですけど、お芝居は真面目ですので(笑)
鷹森 沢山の人が集まってくれて、とても嬉しいです。これをきっかけに、もっとイベントやりたいです!(会場拍手)…これ、石丸さんにお願いすればいいんでしょうか?(笑)
(この後のフォトセッションでは井上さんはXフォロワーのaiさん(@ai_zillion)の、鷹森さんはなんと筆者の持参した新ジリオンを構えて射撃ポーズを披露)
自分が脚本書いた作品を大画面で観るというのは格別です。
— 園田英樹 (@sonodahideki) 2024年4月13日
今日は上映されたボーグマンの2本は僕の脚本回でした。
今ならもっと上手く書けるとも思ったり。
もう書けないかもと思ったり。
しかしかなり未来予測していて、不思議な気持ちになりました。
2030年の世界だったんだよね。ボーグマン。 pic.twitter.com/bVY3Sqo6By
(その後、第一部のゲストも登壇して撮影。「ボーグマンの方々はボーグ・ゲット・オン!のポーズで」と指示された井上氏は、「俺どっちも出てるんですけど」と、ジリオン銃を持ちながら変身ポーズを取ろうとしていて面白かったです)
【ありがとうございました!】
— ロボ石丸 (@robo1954) 2024年4月13日
祝!作品誕生35周年突破!
『#赤い光弾ジリオン 対 #超音戦士ボーグマン』
ご登壇の…#井上和彦 さん(ジリオン/チャンプ役、ボーグマン/チャック・スェーガー役)#鷹森淑乃 さん(ボーグマン/アニス・ファーム役)#後藤隆幸 さん(ジリオン/キャラクターデザイン)… pic.twitter.com/opxn0IqjR1
(キャスト編レポート終わり)
ここからは、上映イベントについての感想など。
ジリオンは自分の事前予想がほぼ的中、後藤氏入魂の第1話、井上和彦氏の演技がたっぷり堪能できるチャンプ回の21話、黄瀬氏作監の28話が上映。28話の落下するアップルをキャッチするJ.Jのアクションなどは、まさに羽原氏の指摘する「TVアニメでこれをやるのか!」という驚異的な作画の一つだろう。
ボーグマンは今回、比較的作画が良好な回だったのだろうか?カーアクションが楽しめる5話、これもゲスト合わせであろうアニス回の28話、こちらも黄瀬さんが原画で参加している最終話が選ばれている。
ジリオンと相次いで上映したことで、ボーグマンは意外と忠実にヒーロー物のセオリーをきちんと踏まえていること、リアル志向のジリオンに比べてメカの描写にケレン味が横溢していることなど、両作品のそもそもの立ち位置の違いが再確認できた。
新文芸坐のロビーにはアップルの色紙の他、両作品の関連書籍やフィギュアなどが展示された。まだ市場に出ていない新作として、ボーグマンのアニスバルテクターバーションの彩色前フィギュアもあったが、今回は前回展示されていた(その後発売延期)ジリオンのトライチャージャー+J.Jの展示がなかったのは少々気になった。
またイベント後には、ご本人による井上和彦氏の自伝販売と、きくち氏のサイン入り画集の販売も行われた。どちらも長蛇の列となっていたが、ファン心理を実によく理解した物販だったのではないだろうか。
自分はイベントの前後には両作品ファンのオフ会にも参加、突貫工事のジリオンクイズの披露などもさせていただき、とにかく濃厚な一日となった。
イベント主催の方々や登壇者の方々、構ってくれた皆様、そして今回もやはり、作品を送り出してくれたすべてのスタッフ、キャストの方々に、最大限の感謝を捧げたく思います。ありがとうございました。