ZILLION ARCHIVE ROOM(Yahooブログ移行版)

Yahooブログから流れてきたTVアニメ『赤い光弾ジリオン』非公式ファンサイトです。元々は放映30周年を記念する週刊ブログでしたがそのまま不定期で続いています。

「祝!作品誕生35周年突破!池袋決戦『赤い光弾ジリオン』対『超音戦士ボーグマン』」イベントトークショーレポート(1)

今回は、去る4月13日に行われたジリオン、ボーグマン合同の上映・トークイベント「『赤い光弾ジリオン』対『超音戦士ボーグマン』」のクリエイタートークショー部分のレポートをお届けする。 (キャスト編は次回更新予定)

当日配布されたフライヤー

今回のイベントは前回の上映イベント(こちら)の司会を務めたロボ石丸氏の主催によるもので、こちらも開催1か月前の3月13日に突如告知され、同27日にキャストの登壇が追加告知、チケットは販売開始3時間で完売するという、とにかくハイペースな展開だった。

 

 

開催された イベントは四部構成で、前半部が両作品のTVシリーズから各3話のセレクション上映、後半部が今回レポートするクリエイターのトークショーおよび、キャストによるトークショーとなっている。

 

クリエイター編のトークゲストはおなじみジリオンのメインキャラクターデザイナ―後藤隆幸氏(こちら)、前回も後藤氏と登壇された作画の黄瀬和哉氏(こちら)、ボーグマン側がやはりキャラクターデザイナーのきくちみちたか(麻宮騎亜)氏と、OPアニメ担当の羽原信義氏という豪華メンツ。

 

以下のテキストは例によってメモを元に発言の前後関係を入れ替えるなどの再構成を行っており、言い回しやニュアンスは実際の発言とは異なること、一部表現を変更している部分があること、また筆者はボーグマンの知識は乏しいため根本的な間違いがある可能性、などにご留意いただきたい。
今回原稿チェックにご協力いただいた エイジ88さん、ありがとうございました。間違いがあった場合の文責は筆者にあり、ご遠慮なくご指導、ご指摘いただければ幸いです。

 

当日の新文芸坐ロビーに飾られた花輪

 

日時:2024年4月13日14時〜19時
場所:新文芸坐(東京 池袋)

クリエイター編のトークショーは16:45から

 

―司会(ロボ石丸氏) 今回の2作品、初めて観た方っていらっしゃいます?どちらか、または両方とも観ていた方は?
(会場の観客は片方だけの人が意外と多い。どちらも初見の人も若干名)

 

―お待たせしました!ここからはトークセッション第一部、クリエイター編となります。ではゲストの皆様、自己紹介からお願いします

 

後藤隆幸氏(以下後藤)後藤です。ジリオンのキャラクターデザインをやりました
黄瀬和哉氏(以下黄瀬)ジリオン作画監督をやりました黄瀬です…実はボーグマンもやってました(会場笑)
きくちみちたか氏(以下きくち)ボーグマンのキャラクターデザインのきくちみちたか…と名乗るのは久しぶり(会場笑)
羽原信義氏(以下羽原)ボーグマンではオープニングのコンテと演出とかやりました、羽原です

―後藤さんと黄瀬さんはジリオンで初めてお会いされたんでしょうか?

後藤 の、はずなんですけど…もっと前にも接点があるらしくて
黄瀬 やってるじゃないですか、あかぬけ(『昭和アホ草子あかぬけ一番!』1985年)で
後藤 そうだっけ?…もう忘れてます(笑)

―きくちさんと羽原さんは?

きくち けっこう前から一緒にやってたよね
羽原 一緒にトランスフォーマー(『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』1985年)をやってて、それで仲良くなったんです
きくち トランスフォーマー、フリーになっての初仕事なんだよ

 

―当時はお互いに面識はあったのでしょうか?

 

羽原 当時は面識はなかったですねー、いまは良く存じ上げてますけど(笑)、場所は国分寺とか近かったですけど
黄瀬 僕は大阪でした(笑)
羽原 そうでした、すいません(笑) 後藤さんとは後に『B.B.フィッシュ』(1994年)でもご一緒しましたね
きくち いま後藤さんとは銀河…でいつも顔合わせてる(笑) ※おそらく『銀河英雄伝説Die Neue These』(2018年〜)のこと
きくち 二人とも斉藤由貴をモデルにしたキャラ描いてるし、先日もその話をしてた(会場笑)
黄瀬 自分はアール(アニメアール)でマジカルエミ(『魔法のスター マジカルエミ』1985年)のきくちさんの原画を見てましたね
後藤 実は望月(智充)さんのトワイライトQ(『トワイライトQ 時の結び目 REFLECTION』1987年)で、きくちさんと一緒に打ち合わせしたことがあるんですよ
きくち え、そう!?覚えてないなぁ…

 

―お互いの作品はご覧になってました?

 

羽原 ジリオンは凄かった。TVでこんなのやるんだ!?と驚きましたね。『GOD BLESS DANCOUGA』(1987年)をやってたんですけど、ショック受けて、自信なくすからもう観ない!と思って(笑)
後藤 え、よその作品とかチェックするんですか!?
きくち 後藤さんのキャラだというので観たんですよ。当時は一視聴者だったのに、後番組の打ち合わせでセガに呼ばれて。「え?これってジリオンですよね?いいんですかコレ?」って(会場笑)
きくち ジリオンは特に第1話がもうね
羽原 メカとかもすごくて
黄瀬 毎回のバンクのビッグポーターなどのメカは、竜の子(アニメ技術)研究所の水村(良男)さんが描いてましたね
―バンク、って皆さんわかります?
黄瀬 まぁ、使いまわしですね(笑)
ジリオンは作画が安定してましたね
後藤 これまでのタツノコ作品の付き合いで請けてくれるところが何社もあって。ローテーションで上手く回ったのかな、と。京アニさんにも仕上げで入ってもらえて
きくち いいな〜、うち(ボーグマン)は海外外注で、その落差が…(涙)
羽原 発注からしてね、行き当たりばったりなところはありました。もう、大変な現場でしたね(笑)
後藤 アニメ雑誌に載ってたボーグマンのきくちさんのイラスト見て、あぁ、上手いなぁ、って思って
黄瀬 自分、ボーグマンは大阪のアールで本橋(秀之)さん回に参加してまして。本橋さんに「似てない」ってさんざん直されました(笑) ※トークショー前に上映されたボーグマンの最終回も黄瀬氏原画、本橋氏作監

黄瀬 あとアールの大島(康弘)さん、「アニスを描きたい!」って言って仕事を取ってきたのに、アニスのカットは他の人に取られてました(笑)

きくち 自分はその頃ゼオライマー(『冥王計画ゼオライマー』1988年)とかをやってて、でもボーグマンもやるつもりだったの。で「作監やるよ!」と言ったら監督に「もう遅い!」って言われて。1話が始まったくらいの頃よ!?仕方ないので『聖闘士星矢』(1986年〜)をやってた

 

―今日はジリオン放映開始日の翌日、ということで実はアップルの誕生日でもあります。なのでこの会場でお祝いをしたいと思います!今回特別に色紙を描いていただきまして、ロビーに展示されてますので、ぜひ見ていただければと思います

―あとジリオン放映開始日の新聞を入手してまして。これ見ると「全26話」って書いてあったんです。これは「延長があった」ということなのでしょうか?

後藤 延長、って話は聞いたことないなぁ?
―オモチャが出てましたが、その販促で延びたとか
後藤 ジリオン(銃)は売れてたと思います。『ドテラマン』(1986年)ではスポンサーが潰れたけど(笑) 品薄だったのか(スタジオには)一丁だけ来て。対戦もできない(笑)
―2丁持ってるのはお金持ちの子、って感じでしたね(笑) 皆さん、今日はジリオン持ってきてますか? ※去年のジリオン上映会のとき、観客のジリオンをゲストが借りるフォトセッションがあった
黄瀬 アールにも一丁だけジリオンが来てましたが、沖浦(啓之氏)に「設定描くから」って取られちゃった(笑)

沖浦啓之氏の手になると思われるニュージリオンのキャラ設定書

きくち ボーグマンもジリオン持ってるんだけど、自分のとこには(玩具は)結局来なかった。ジリオン、描きにくいし(笑)
黄瀬 そう、ニュージリオンは描きにくいですね。前(旧ジリオン)のほうが線少なくて(描くのが)ラクで良かったのに(笑)
羽原 会社には(ジリオン銃が)来てました。メカデザのやまだ(たかひろ)さんのところに来てたはず
きくち アニメディアの表紙で、実物がないから設定とにらめっこしてジリオン(ボーグマン作中ではソニックガン)を描いたんだけど、「なんでボーグマンがジリオンを持ってるんだ!」って読者にスッゴイ言われてさあ(泣) 俺のせいじゃない!(会場笑)

―銃やメカは玩具に合わせて描くんでしょうか?

後藤 いえ、そうでもないですね。トライチャージャーの変形とか…なんか、良くわかんないし(笑)
黄瀬 メカは誤魔化すのが大事…ですよね?
羽原 そのとおりです!(笑)
―ボーグマンは(当時流行していた)聖闘士星矢のように防具を装着できましたね。ダストジードのフィギュアを買ったら、なぜか黒じゃなくて全身シルバーで(笑)
きくち フィギュア、星矢のに比べて金属部品もなくてプラで安っぽくてさ、顔も似てないし(怒)

 

―キャラクターデザインについてなのですが、各キャラにはモデルがいるのでしょうか?

 

後藤 J.Jは特にいないです。アップルは当時参加していたオレンジロード(『きまぐれオレンジ☆ロード』1987年)のまどか、チャンプはトーイ(『To-y』漫画連載は1985~1987年)から。1日で描けって言われて、これで自分もメジャーになれるかも?とか思って(笑) でも、一回全部ボツになってるんですよね(会場驚き)
後藤 それまで等身の低いキャラを描くことが多かったんで、ちょっと幼い感じになっちゃってて。ムックに載ってますけど、頭身を上げて描き直したんです
―大変ではなかったですか?
後藤 まあ、でも、アニメーターなんで(笑) J.Jが主人公なんですけど、3人ともが主人公と思って描いて。アップルもあんまり女っぽくなく、オパオパはセガさんのキャラクターなんですけどそれもデザインして
―眉毛もつけて(笑)
後藤 あれは貞光(紳也)さんがやったんです。そしたらそれがキャラになった(笑)
―ノーザのデザインも後藤さんが?
後藤 ええ。監督の西久保(瑞穂)さんの意向でキョンシー+異星人、という感じで。表情もないし、アニメーターがラクに描けるように考えたのかな、と

 

―ボーグマンも新聞に新番組紹介で載ってました。あらすじが主人公の説明まで行けずに、メモリーのお話みたい(笑)

 

きくち 最初は5人の子供が主人公の「黄金戦隊ボーグマン」だったの、(主人公の名前が)夏目想太郎になる前。で、夏目漱石の親族がまだいらっしゃるのでクレームがあると怖いな、ってことになって。玩具が、音に反応するスゴイギミックなんだけど、「音」だから主人公の名前が「響」になった
きくち 後藤さんは一日だったけど、こっちはもっとひどい(笑) 加藤さん(おそらく葦プロの加藤博プロデューサー)に「企画書あるからいまここで描け」、と言われて描いたら決まった(会場笑)
きくち キャラクターのデザインは、服にポケットを付けることを意識した。アニメではあまりない、リアルな感じにしたくてね
後藤 ジリオンでは、服はなるべく線を少なく、って考えてデザインしてましたね
―そんな違いが
きくち 本当は、アニスの私服は毎回違うようにしたかったんだけど、出来ないって言われて。でも後に、毎回私服が違う作品があって、それが『美味しんぼ』(1988年)の栗田さん!栗田さん毎回違う服で、「やればできるんじゃん!」と(笑)
羽原 栗田さんには変身バンクないから!(会場爆笑)

 

―アニスはすごい人気でした

 

きくち そうなの!…でも、若い子に信じてもらえない(笑) 綾波レイが現れるまではそのポジションでさ、アニメ雑誌全部の表紙になったり
―「菊池道隆の時代」、ありましたね ※ロビーに展示もされたアニメージュ1988年11月号の特集
きくち アニス・ファームをありがとう、のやつね。でも、自分の出身の岩手の山の古〜い白黒写真とか、記事がひどくてさ、それでアニメージュと仲違いした
―なぜアニスはあそこまで人気が出たんでしょう?
きくち それはアレじゃない、やっぱり胸の…(会場笑)
羽原 あそこ、原画きくちさんだよね
きくち …はい、描きました(笑) けど、絵コンテに描いてあったんだよ! ※絵コンテ担当は羽原氏
きくち あんまり好きじゃないんですよ、不自然なのは。下着も着けてるんだし、そんな揺れるわけないだろう、と
羽原 「どうすればいいかわからん」と言われて、「こんな感じで…」と後ろから掴んで(笑) 「…な、なるほど!」と(会場爆笑)

 

―当時のTVアニメは聖闘士星矢が人気で、防具モノが多かったですね

 

きくち この全員、シュラト(『天空戦記シュラト』1989年)やってるんだよね(笑)
黄瀬 自分、トルーパー(『鎧伝サムライトルーパー』1988年)もやってました(会場どよめき)
ジリオントライチャージャーがありましたね。あれは防具?ロボット?オモチャも出ましたね。最近もポーズプラスさんのが ※2024年10月に発売延期

 

―早くもお時間となってしまいました!最後に一言お願いします。告知とかあります?

 

後藤 自分はもう還暦過ぎなので、この3月でアニメーターは引退、今後は教員に専念します。あとは黄瀬さんとかにお任せです
黄瀬 自分も57とかですよ!?
後藤 でもほら、西尾くんとかもいるし(笑)
黄瀬 西尾もそんな変わらないですって!(笑)
―黄瀬さんって当時おいくつだったんですか?
黄瀬 ジリオンのときは22…くらいかな
―劇場パトレイバー(『機動警察パトレイバー the Movie』1989年)のときは…
黄瀬 …23か、24かな(会場どよめき)
一同 スゴイな〜
後藤 あ、あと今日からやるアイジーの『怪獣8号』(2024年)よろしく。自分はやってないけど(笑)
黄瀬 自分も怪獣8号やってますんで、よろしく
きくち 告知多いんですがまず、「はるコン」でゲストオブオナー、『ハイスピードエトワール』(2024年)の絵コンテ、サテライトアーツでボーグマンのイラスト販売、ヤマト3199(『ヤマトよ永遠に REBEL3199』2024年)のポスターなど。あと『快傑蒸気探偵団』(1998年。原作マンガがスタートしたのが1994年)の30周年イベントをホールミクサでやります!ぜひ足を運んでいただければ
羽原 『快傑蒸気探偵団』プロデューサーの羽原です(笑) 公開はちょっと前なんですがガンダムSEEDフリーダム(『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』2024年)、きくちさんコンテのパートを演出してます。あと、妻(羽原久美子氏)が『青のミブロ』(2024年)をやってるのでよろしく

 

クリエイター編の方々はこの後、キャスト編のあとに行われたフォトセッションにも参加されていました。

 

新文芸坐のロビーに展示されたアップルのバースデー色紙
左から後藤氏、黄瀬氏、西村誠芳氏(西村氏は作品には未参加)

次回は、キャスト編のレポートおよびイベント全体の感想となる予定。