タツノコ・レトロスペクティブ《SF・アクション篇》『赤い光弾ジリオン』トークショーレポート
今回は予定を変更して、2月4日に行われたジリオンの上映・トークイベント「タツノコ・レトロスペクティブ《SF・アクション篇》『赤い光弾ジリオン』」のトークショー部分のレポートをお届けしたい。
このイベントは1月11日に突如予約が開始されたもので、ファンにとっても本当に寝耳に水といえる出来事だった。主催はAnimeDRIFTER、タツノコプロの60周年企画「タツノコ・レトロスペクティブ《SF・アクション篇》」の一施策という形をとっており、『マッハGoGoGo』(1967年)『機甲創世記モスピーダ』(1983年)『科学忍者隊ガッチャマン』(1972年)に続く、第4弾となる。 イベントは二部構成で、第一部がTVシリーズから3話のセレクション上映、第二部が今回レポートするトークショーとなる。
トークゲストは当時の制作プロデューサー石川光久氏(こちら)、キャラクターデザインの後藤隆幸氏(こちら)、作画監督や版権イラストでおなじみの浜崎博嗣氏(こちら)と黄瀬和哉氏(こちら)。2016年のブルーレイBOX発売イベントと比較すると、西久保監督と植田もとき氏が抜け、石川氏が入った形となる。ジリオンのイベントに石川氏が登壇するのは初ではないだろうか。
個人的には、後藤隆幸氏は5年前(2017年12月)の後藤隆幸氏の個展で開催された「後藤隆幸・西久保瑞穂お話し会」(こちら)以来、他の方々については今回初めてお姿を拝見することになる。
2/4《タツノコ・レトロスペクティブ《SF・アクション篇》『赤い光弾ジリオン』》(ゲスト:石川光久さん、後藤隆幸さん、黄瀬和哉さん、浜崎博嗣さん、MC:をロボ石丸さん)を池袋 ホールミクサで開催しました。ご来場頂いた皆様ありがとうございました!
— AnimeDRIFTER/アニメドリフター(合同会社クーベルチュール) (@AnimeDRIFTERJP) 2023年2月5日
タツノコ特集はまだ続きます!#AnimeDRIFTER pic.twitter.com/uI8wEssSep
以下のテキストは例によってメモを元に再構成しているため、発言の前後関係や言い回し、ニュアンスは実際の発言とは異なること、あとから訂正があった場所の修正や、一部表現を変更している部分があることにご留意いただきたい。
自分のメモから抜けた部分を補足いただいた maris_blueさん、aiさん、黄瀬さん(!)、ありがとうございました。極力元発言の意味を変えないようにしていますが、間違いがあった場合の文責は筆者にあり、ご遠慮なくご指導、ご指摘いただければ幸いです。
日時:2023年2月4日20時〜22時
場所:ホールミクサ(東京 池袋)
―司会(ロボ石丸氏) では、自己紹介からお願いできますでしょうか。
石川光久氏(以下、石川) 制作プロデューサーをやりました、「アイジー竜の子」の石川です!(拍手) なんか…いっぱい来てもらって、感激しております。
後藤隆幸氏(以下、後藤) キャラクターデザインと1話の作画をやりました、後藤と申します。
黄瀬和哉氏(以下、黄瀬) 作画監督と原画の黄瀬です。先日も(ブラックマジックの上映会で)ここにいた気がしますが…(会場笑)椅子が一個ズレました(笑) ジリオンでは、ほぼ水村(良男)さんの回の原画をやっておりました。
浜崎博嗣氏(以下、浜崎) 浜崎と申します。作監とゲストのキャラクターデザイン、版権なんかもやらされてました(会場笑)
ーなお、本日は監督の西久保(瑞穂)さんにはご登壇いただけなかったのですが、先日のブラックマジックでの写真(1/14にOVA『ブラックマジックM-66』のイベントがあった)をお送りしたところ、お返事をいただいております。
「お写真ありがとう。懐かしい顔が見えますね。黄瀬さんが一番若く見えました。イベントのスタッフさんにもありがとうと伝えて下さい。
イベントの成功を願っております。出演者の方々によろしくお伝えください」
……イベントの成功を、とのことですが。本日は満員御礼!大成功ではないでしょうか!(拍手)
―今回の上映回、クイズの答えは1,16,17話でした。どうしてこの話数を? ※事前にどの回を上映するかのクイズが参加者に伝えられていた
石川 うん、これはごっちゃんから
後藤 え、僕ですか!?えーと、自分が出した意見を元に検討するのかと思ったら、そのまま通ってしまって。1話は発端だし、唯一自分のやった話でもあるので(笑)、16話は浜さんの作画、で16話を見たら17話も、と。16,17話は続きモノなので。
石川 石川が選ぶなら1,2,23話かな、と。でも実際見たら16話がすごく良かった。1話は西久保さんとごっちゃんに組んでもらって空気感と優しさが、2話が押井(守)さんと浜ちゃんでシャープさを。貞光(紳也)さんと井口(忠一)さんには予算を抑えてもらって。2話は(絵コンテが)押井さん、16話はうえだ(ひでひと)さん。(うえだ氏のペンネーム)「綴爆(スペルバク)」って「スピルバーグ」のモジリなんだけど、うえだ節が効いてる。うえださんの話してよ浜ちゃん、スターザンS(『OKAWARI-BOY スターザンS』1984年)大好きでしょ?
浜崎 いや、ここはジリオンの席なので(苦笑)
石川 まぁ、押井さんやうえださん、色んな人の個性が見えるのがジリオンのいいところ。2話でパトロール兵が1分くらい延々と歌う渾身のコンテを押井さんが描いたんだけど、これホントにやる?って西久保さんに聞いたら、「うん、切る。要らない」と(会場笑) それを西久保さんが覚えてて、17話の「山口直樹」って西久保さんのペンネームなんだけど、17話のハーモニカのシーンに生かしたんだろうね。
―黄瀬さんはどうです?
黄瀬 僕が選んでも浜崎さんの16話と、17話は選ぶと思う。17話は沖浦(啓之)さん…って、なんでいま「さん」付けしたんだ俺?(笑) ※黄瀬氏と沖浦氏はアニメアール時代からの長い付き合い
浜崎 選んでいただいて光栄ですね…どうもありがとう。
石川 沖浦は別の仕事(ブラックマジック)をやってて最初できない、って言ってたけど、(なかむら)たかしさんの原画をもらえるならやります、と。すごい原画が報酬って、やっぱり沖浦もすごいよ。
―話数クイズの正解はお一人!(会場拍手) 登壇者の直筆色紙をプレゼントします!
宝石箱のようにきらきらで、
— 三田村・ᴥ・🤍💛 (@Ru2_mitamura) 2023年2月4日
おもちゃ箱のようにわくわくな、
すてきな時間を過ごさせて頂きました。
イベント関係者の皆様本当にありがとうございました✨
夢だけど!
夢じゃなかったーーーー!✨
ピタリ賞頂きましたー!家宝!#赤い光弾ジリオン pic.twitter.com/Ep4WagnQG7
―OPの文字が逐次的に出るのはどなたが?
石川 西久保監督は音楽にすごくこだわる人。おそらく西久保さんとたかしさんで決めたんだと思う。
―皆さんはどうして作品に関わることに?
石川 今日はタツノコの伊藤(響)社長も来てるので…(会場笑) でも、当時のタツノコは本当に大変だったので、こういうときこそいろんな(外部の)血を入れて…と。戦ったんですよね。生まれて初めて人前で泣いたんですよ、「大人はわかってくれない!」って。
石川 11月に退社届を出して、12月の送別忘年会で突然(ジリオンの企画を)やる気になったんです。12月の30か31日に京都アニメーションの八田(英明)さんに相談したら、「やれるよ!」って話になって。これでアニメから離れるつもりで、最後の作品として全力を注いだ。
後藤 『ドテラマン』(1986年)をやってたんですけど、キャラコンペがあって。自分以外にはフリーでタツノコに出入りしていたタケさん(武田一也氏)、浜さん、水村さんもいて。このメンツじゃ無理だなー、と思ってたんですけど。決まってしまいました(笑)
黄瀬 自分は師匠の(スタジオムー代表の)村中さんからの話で普通に(仕事が)来た、って感じでしたね。水村さんの回が多くて、最初第4話をやってたら、1話の担当者がバックレてしまったので、4話をほったらかして1話に参加した、と。
石川 4話、アップルの水着姿が良かったよね。
黄瀬 ありがとうございます…でいいのかな?(笑) あれはグラビアとか見て描きましたね。
浜崎 竜の子アニメ技術研究所からキャラコンペに参加しました。久々に等身の高いアクションだし、プロデューサーも若くて、これはチャレンジできる企画だと思いましたね。
浜崎 研究所は2班あって、自分が中のスタッフと、水村氏が黄瀬さん(大阪のスタジオムー)など、外と仕事してたんで、水村氏や黄瀬さんなどの原画も見れて、勉強になりましたね。
石川 大阪に行くと、黄瀬が飲みのときだけ顔出すんだよね。飲みのときだけいる(会場笑) あれはなんで?
黄瀬 あれは最初井口さんで。ウラシマンが終わったあたりで、井口さんが自分や大川さんを連れてディスコに行ってたんですよ。
石川 井口さんか!…そういえば、浜ちゃんもディスコボーイだったよね?
浜崎 ええ、まぁ(笑)
―どうして光線銃が主役のアニメになったんですか?
石川 オモチャが先にあったんです。それをアニメにした。ロボものと同じで、商品ありきの企画なんだよね。
ーオモチャの銃からどうしてSFアニメにすることに?
石川 (メイン脚本家で設定協力の)伊東さんと(監督の)西久保さんが決めたと思う。設定は(文芸の)関島(眞頼)さんが頑張った。
後藤 ジリオン銃、あのコードはアリなの?とか、オープニングでどうやってクルクル回してるの?とか(笑) 最近知ったけど、スポンサーがセガなのにジリオンの射撃音はカプコーン!カプコーン!って聞こえる、って(場内爆笑)
―では次は…あ、ここに当時の「99の謎」って本(アニメディア付録)があって、コレ色々当時の裏話が載ってるんです。
石川 え、そうなの?よく99もあったなぁ。 ※「99の謎」を借りて熟読し始める石川氏
石川 …この「99の謎」は関島さんによる後付だと思う。最初から決まってなんかいない、作りながら決めてった。…こういうゲストキャラはごっちゃんだっけ?
後藤 いや、自分はやってないです、そちらの方(浜崎氏)です(笑)
浜崎 …ゲスト、描きましたね。パトロール兵の元ネタは元自衛官の金子(浩司)さんと自分で。16話の(J.Jの昔の仲間の)楊枝くわえたヒゲの人は木村(信一)さん。タツノコ作品はスタッフが画面に出てくることがよくあったんで。内輪受けですけどね、その伝統に自分も乗った、と。 ※金子氏、木村氏とも当時の竜の子アニメ技術研究所所属
―第1話のアップルのデータが出るところで「後藤さんはスケベです」って書かれてる、とネットで話題なんですが(笑) ホントのところどうなんですか?
後藤 えー!? それは…正しいです(笑)
石川 これさぁ、いま見るとJ.Jは実は西久保さんだったんだなぁ、と思うよね。アップルは(アップル役の)水谷(優子)さん。だから結婚したと思ってる。チャンプはごっちゃんだよね。
後藤 To-yをモデルにしたんですけどね。アップルは(『きまぐれオレンジ☆ロード』の)まどかで。エイミは鐘夢(こちら)の武田(一也)さんが描いたのをリライトしてくれ、と言われて描いたんです。
石川 エイミはミニスカなんだけど、17話のエイミ、沖浦の脚フェチぶりがしっかり見えるよね(笑)
―デイブはどうですか? 自分(司会のロボ石丸氏)は同じ身長体重なんで親近感があるんです。
後藤 デイブのデザインは、あんまり悩まずに出てきたかなあ。
―せっかくなんで、あとレギュラーはゴードでしょうか。初めて知ったんですが、ゴードってまだ40代なんですね。
後藤 ゴードやバーンスタインは、まだ20代だった自分が考えた40代なんで。年齢というよりは、キャラクターのイメージから絵にしていったと。ヒゲの有無とかは監督とキャッチボールで決めた…はず(笑)
―メカとかはマクロスっぽくも見えます。
浜崎 寺岡(賢司)さん(メカ岡くん)がマクロスに参加できなかったフラストレーションを16話にぶつけてましたね。作画監督としてはラクさせてもらいました。
―ノーザ兵も印象的でした。喋らないのが怖くて。
後藤 ノーザのデザインは表情を出さずに怖い感じに、というのはありましたね。キョンシーは当時あったかな? ※ありました
―激闘編から出てくるノーザウォーリアーズは?
後藤 いえ、あれは井口さんデザインのはず。
―なんで激闘編になったんでしょう?
石川 元々話数は決まってたんだけど、前半のクオリティを続けるのはそもそも無理だったんだよね。だから間に再放送を入れてストックを増やした。
―実は今日、メカデザイン協力(ニュージリオンのデザイン)の青井邦夫さんも来場されています!(拍手) ニュージリオンのデザイン原画をお借りしています(ゲストたちが興味深そうに閲覧)
後藤 セガさんは最初のジリオン銃はくれたけど、新しい方は送ってくれませんでしたね? 一丁だと対戦できないんで、的に撃つしかできない(笑)
浜崎 あの、胸につけてるアレは何? ストーリーでなにかに使いました?(会場笑)
後藤 あれは元(オモチャ)からだから。みんな思ってた(笑)
石川 アレ使うようなことあったら死ぬから!(会場笑)
後藤 前のジリオンは、あのコードを描くのが大変で(笑)
浜崎 自分はコード付いてる方が好きかな。不自由なところにサスペンスがある。無限に撃てる銃じゃないのがいい。短所こそが長所になるんです。
黄瀬 自分も前のやつが好き。形がカンタンだし、色が暗くて線が誤魔化せるし(場内笑)
後藤 メカもよく動いてたよね。
浜崎 トライチャージャーの変形は太田(大雅)くんが喜々としてやってくれたので、作監は楽だった。メカは好きな人がいるんでね。
石川 そう、水リン(水村良男氏)も車やバイクが上手い。西久保さんが信頼してるよね。ビッグポーターの発進シーンを描いてる。
石川 これは言っときたいんだけど、たかしさんのOP、トライチャージャーが小さい。多くのアニメーターはメカと人物を別々に描くけど、たかしさんはまとめて描く。メカと人の一体感が素晴らしい。
後藤 トライチャージャーは元々3本指だったんですけど、途中で5本指になったんで、初期の絵とかは3本指のが残ってたり。どこかからクレームが入ったのかな。
石川 放送コードか、実はそれもなくて自主規制とかかもね。あと枚数を使うな、とは言われたけど、枚数は使った(笑) 改めて観るとやっぱりすごいよ、タツノコは爆発がハンドトレスで手間かかってる。サンライズはトレスマシンだから。
―サブタイトルのあの文字はフォントがあるんでしょうか。
浜崎 動画チェックの(菊池)市松さんが描いてましたね、一人で。
―それは大変でしょう!
浜崎 いや、それが本人楽しんで描いてたみたいで(会場笑)
―ジリオンといえば音楽も印象的でした。入江純さんが起用されたのはどんな経緯でしょう?
石川 西久保さんは音楽に造詣が深い。レコード会社の推薦してきた候補の中から、監督が選んだ形だと思う。
後藤 上映観て、最初の音楽とかナレーションに時代劇感があるな、と(笑)
石川 みんな若かったよね。大月(俊倫)さん、って後にエヴァを作った人なんだけど、彼がスターチャイルド(レーベル)を作った。ジリオンの発射音はエヴァとかやって、いまは大御所になってる野口(透)さんが新人のときに作った。いや、当時まだバイトだったんだっけ?
―ジリオンの放送当時の評判はどうだったんでしょう?
石川 制作してる当時は寝る場所も時間もなくて、国分寺の南ビルの屋上でサマーベッドで寝てた。評判がどうとか考える暇がなかった。
後藤 一番恩恵受けたのは俺かなー(笑) グロス受けならスタジオが回ると思って(スタジオ)鐘夢のみんなに聞いたら、アクション物は大変なのでやりたくない、と。でオレンジロードとかやって。オレンジロードが終わったので歌姫(OVA『赤い光弾ジリオン 歌姫夜曲』)はやれることになったんです。
石川 歌姫は後藤隆幸がやります!ってことで通ったんだよ。
―ここで大事なお知らせです。ポーズプラスからトライチャージャーがJ.Jフィギュアとセットで出ます。わかります、J.Jだけじゃなく…これが売れたら残り二人も出るかも? というとこで、ぜひ予約お願いいたします! 石川さん、今の世にジリオンの商品が出ることについてコメントを…
石川 ごめん聞いてなかった(場内爆笑) いや、このメンツを見ていろいろ考えてた。このすごいアニメーターたちを紹介したい。
石川 黄瀬はカメラのレンズを変えてレイアウトが描ける。マクロスで庵野さんがレンズをきちんと考えて描いてたのに動画で直されたんだ、と黄瀬が力説してて。そのとき黄瀬はマクロスの隣でウラシマンをやってた。
石川 西久保さんは、ごっちゃんの優しい顔が気に入ったんだよね。優しさ、布の質感までこだわる丁寧さ、顔に出てる。「何を任せるか」は、顔で決めてる。
石川 浜ちゃん…浜ちゃんは、ズルい。
浜崎 (笑)
石川 浜ちゃんはチャンプのまつげとか、キャラをすごく魅力的に描くんだよね。だからマッド(ハウス)に行ったのは納得かも。
―じゃあ今度は逆に、石川さんのすごいところを紹介いただきましょう。
後藤 やっぱり、IGが大きくなったのは石川の力だと思うし、冒頭にもありましたが話はめちゃくちゃなんだけれども、それが色々なクリエイターを惹きつけてくる。人が集まってIGの作品をやって、作品もどんどんグレードアップしていって…というのが、宮崎駿さん…までは行かないとしても(笑)、そういう傾向があるのかな、と思います。
黄瀬 さっき本人も言っていましたけれども、「結局人の話は聞いてない」(笑) 話は聞いていないけど、考えているのはずっと考えている。非常に助かってもいますし、30何年も食わしていただいて、本当に感謝の至りです。なんとか恩返ししようと思ったら会長になっちゃったんで…(笑) あと、こっちも残り少ないんで、頑張って恩返ししていきたいです。
浜崎 研究所に来てた石川さんを見て、なんて軽い人なんだろうと。カットの上がりを待ってるはずなのに、スタジオの女の子とずっと話してる。見た目も…髪の毛ボサボサでね、今までにいないタイプというか、ひとの警戒心をなくす性格というか。IGをここまで作りあげた力って、そこに集約されるのではないか、と。まあ私は、いまIGにはいませんけれども(笑) …あれ?何回か誘われたっけ?
石川 さっきディスコの話がありましたけど、浜ちゃん女の子にめちゃくちゃモテたよね? 自分から行く、って感じは全く見せないけど、まぁそのあたりがモテた、っていう。
浜崎 まあ、石川さんとか僕じゃなくても、若いっていうのはツルツルしてないんですよね。みんなドロッドロしてた。そんな中にね、ライトな感性がみんなを引っ張って来た…と(後藤氏を見る)、ヨイショしておきますけれども(笑)
浜崎 本当、「欠点は長所」というのも、ひっくり返してみると(ひっくるめて)「ひとりの人」ということでありますから。人間はすべてそうである、と思っております。
(ここからQ&A)
Q 当時の雑誌とか見ると、声優さんがセガの保養所に行ったとかの記事がありました(?)スタッフの方も行かれたんでしょうか。
後藤 それは知らないです。打ち上げで真鶴には行きましたね…シャボテン公園に(笑)
Q 監督に西久保さんを起用した理由は?
石川 (黄金戦士)ゴールドライタン(1981年)で一緒にやってたんです(こちら) タツノコ四天王でもあり、すごい人だと思ってて。ジリオンを成立させるのには、西久保さんの力が必要だった。
Q 最初に京アニの八田さんに相談した理由は? 京アニとのエピソードなどありましたら。
石川 仕上げに厳しい会社だったのでお願いした。監督と同じく、作品の必須要素でしたね。
黄瀬 パトレイバーのとき(『機動警察パトレイバー the Movie』(1989年)?)に作監として来てくれ、って言われて京アニに派遣されましたけど、遠いし朝早いしで3日でめげましたね(笑)
Q J.Jの撃ち方やアクションの見栄の切り方、ポーズなんかはどうやって決めた? 設定にあるのか、参考にした映像などがある?
後藤 アクションは絵コンテで決まり、原画が細かくポーズを起こすんで、設定書では特に決めてないです。
浜崎 1話と2話が同時進行だったから参考もなにもなく、考えながら描いた。光線銃は反動がないはずだけどどうする?とか(会場笑) J.Jならノリでワザとやるかな?とか。研究所の中でも、熱意のある人は頑張ってましたね。
黄瀬 いまだったらジリオンは作画崩壊って言われる。作監ごとに絵が違うからね。
後藤 一話完結でこういう実験できる作品は欲しいですねえ、いまは難しいかもですが…。
浜崎 いや、いまこそ必要です、やるべきです。つくり手がモチベーションを持てる作品を。
―あっという間にお時間になりました。一言ずつお願いします。
石川 36年も作品を観てくれてありがとう。ここの3人の味を、また出していきたい。
後藤 自分のアニメーター人生で大きな作品。いまだ後輩とかにジリオン観てました!と言われるんです。ジリオンやっててよかった…(感涙)
黄瀬 ここで久々に観ました。昔の自分の仕事は見たくない。なのにちょくちょくオファーがある。行きつけの飲み屋のマスターが30代なのに、絵を描いてくれ、とリクあったのがJ.J。すごく愛された作品で。
浜崎 ガムシャラに、自分のことばっかり考えて仕事してたのに、ファンがこんなおじさんおばさんになっても観に来てくれて、本当にありがとうございます。
―今回色々質問考えてたんですが、時間ぜんぜん足りませんでしたね。ジリオン、次の機会が必要じゃないかと!(拍手)
―登壇者の直筆色紙あと2枚は、座席ナンバーの抽選で行います! 最後にゲストの方、告知あります?
黄瀬 あ、『火狩りの王』(https://hikarinoou-anime.com/)をよろしく。
(ここからゲストがジリオンを持って撮影タイム。主催では2丁しか用意がなかったので客席から新旧ジリオンを1丁ずつ借りる一幕あり)
次回は、このイベントの感想と、そこで展示されたアクションTOY「トライチャージャー&J.J」についてを予定。前回の予定はそれ以降とさせていただきたい。