ZILLION ARCHIVE ROOM(Yahooブログ移行版)

Yahooブログから流れてきたTVアニメ『赤い光弾ジリオン』非公式ファンサイトです。元々は放映30周年を記念する週刊ブログでしたがそのまま不定期で続いています。

歌姫夜曲30周年!ジリオンのスピンオフ作品いろいろ

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OUT1988年8月号より
 
OVA赤い光弾ジリオン 歌姫夜曲』(1988年)は今日6/21がその発売30周年となる。
 
本作はTVシリーズの好評を受けて制作されたスピンオフ作品。スタッフはメインキャラクターデザインの後藤隆幸氏を総作画監督に迎え、西久保監督以下TVシリーズのメインスタッフが続投したほか、武田一也氏や奥田万つ里氏、岸田隆宏氏などの強力なスタッフが新たに加わっている。
 
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同人誌「歌姫夜曲作画集」より
 
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ジリオン クリエーションズ2』より
 
以前にも触れたように(こちら)本作はTVシリーズを放映していた日本テレビや、ビデオを発売していたバップではなく、タツノコキングレコードによる製作となっている。そのためか本作は音楽面が充実しており、タツノコの植田、キングの大月の両プロデューサーや、西久保監督の意向が強く反映された作品といえそうだ。
 
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赤い光弾ジリオン』ブルーレイBOX特典ブックレット 浜崎博嗣氏・黄瀬和哉氏・沖浦啓之氏の鼎談より
 
また、1988年6月のリリースと前後して、本作同様にジリオンのスピンオフ的なスタンスの作品がいくつか登場しており、それぞれのクリエイターによる「俺ジリオン」の競演が楽しめる。発売日順にご紹介したい。
 
『あぶないMUSIC』CDジャケット。駿河屋より引用
 
まずは「歌姫夜曲」のサントラも兼ねているCD『あぶないMUSIC』(6月発売)。ラジオ番組を模したナンセンスなパロディが楽しく、また、ラストには有名な深夜ラジオ番組「ジェットストリーム」のようなペーソスも漂う。
TVシリーズで文芸を担った関島真頼氏の考える「ジリオンの幅」は本作においても健在だが、ホワイナッツの掛け合いが魅力のジリオンにおいて、アップルだけをフィーチャーした本作にはやや物足りなさも感じる。
 
『エイミ・ペンギンズダイアリー』LDジャケット。駿河屋より引用
 
続いて同じくキングから7月に発売されたミュージックビデオ『エイミ・ペンギンズダイアリー』は、近年登場したブルーレイBOXに映像特典として収録された。自分のようにブルーレイ化によって初めて観たファンも多いのではないだろうか。
本編はエイミの語りをブリッジに配したソング集で、映像はTVシリーズのシーンをビデオクリップ的に編集したものが使われている。
 
赤い光弾ジリオン JJ対リックス 宿命の対決』LDジャケット。駿河屋より引用
 
同じ7月にはバップからも総集編ビデオ『JJ対リックス 宿命の対決』(1988年)が登場。こちらも、TV版の映像を使用しつつもアフレコは新規に行われており、J.Jとリックスの対決をクローズアップしたシリアスな作りとなっている。
本作の構成はTV版で脚本の要として活躍した伊東恒久氏が手がけており、「伊東版ジリオン」として骨太な作風が堪能できる。
 
赤い光弾ジリオン チャンプ&アップル ファンタスティックメモリーズ』LDジャケット。駿河屋より引用
 
バップのもうひとつの総集編、8月に登場した「チャンプ&アップル ファンタスティックメモリーズ」の構成は、こちらもやはりTV版脚本スタッフの渡辺麻実氏。
TV版のチャンプ回である第9話「ぬすまれたジリオン」と、アップル回の第25話「優しき逃亡者アップル」をベースに、そのブリッジとして声優ネタを絡めたセルフパロディを展開した。
 
『シークレット ティ・パーティ』パッケージ
 
渡辺氏はカセットブック「シークレット ティ・パーティ」(9月発売)も手掛けており(こちら )、こちらも劇中劇を基本としたパロディ、声優ネタが頻出、シリアスな伊東版と好対照をなしている。
 
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アニメV別冊『赤い光弾ジリオン 歌姫夜曲』より
 
もう一つ、アニメVから発売された歌姫のムック(8月発売)から、歌姫のプロローグ的な小説「歌姫序曲」。著者はこちらも渡辺氏だが、本作は歌姫に直接繋がるエピソードであるためか、パロディなどはごく控えめなものとなっている。
 
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後藤隆幸作品集MIX NOISE』より
 
10月に出版された後藤氏のコミック「MIX NOISE」のその半ば以上はジリオンネタで占められている。コミックのストーリー協力には『ドテラマン』(1986年)でも後藤氏と組んだ貞光紳也氏がクレジットされており、ほのぼのギャグと正統派の外伝ストーリーが楽しめる。
 
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VHS版『赤い光弾ジリオン 歌姫夜曲』より、インナーのオマケ漫画
 
このコンビは歌姫の特典オマケ漫画も担当しており、TV版のイメージをもっとも色濃く残すチームと言えそうだ。
 
これらの展開が終了した翌1989年は、4月に植田もとき氏プロデュース、西久保氏が監督の『天空戦記シュラト』がTVに、7月に石川光久氏と押井守監督、黄瀬作画監督の元、ジリオンの作画スタッフが多数参加した『機動警察パトレイバー THE MOVIE』が劇場に、12月には後藤氏がキャラデザと総作画監督をつとめた『敵は海賊』が衛星放送にそれぞれ登場し、ジリオンの主要スタッフは各作品へと散ってゆくことになる。
 
 
次回は当時のちょっとした情報と、新事実が判明したセル画を引き続き紹介予定。