同人誌「歌姫夜曲BURNING NIGHT 作画集」
今回は1989年頃に発行されたと思われる同人誌「歌姫夜曲BURNING NIGHT 作画集」(発行:蒲田行進曲)をご紹介したい。これは前年、1988年に発売されたOVA『赤い光弾ジリオン 歌姫夜曲』の原画、ラフ原画、レイアウト、作監修正などが掲載された同人誌で、132ページというなかなかの大ボリュームのため以下はその抜粋となる。
歌姫夜曲作画集より
表紙は宣伝ポスターで使われたセルの原画だろうか。「さらわれたお姫様を奪還する」という作品コンセプトをよく表している。
歌姫夜曲作画集より
まえがきから推察するに、このサークルは後藤隆幸氏の仕事を追いかけるサークルだったのだろうか。
歌姫夜曲作画集より
ポスターのボツ案だろうか? 後藤氏の「こまったユ鬼ちゃん」にも登場した『帝都物語』(1988年)あたりが元ネタかもしれない。
歌姫夜曲作画集より
OP開始早々にドキッとさせられるアップルの着替えシーン。実は全編通してもっとも色っぽいカットかも。
歌姫夜曲作画集より
ステージには謎の丸い光。実に西久保監督っぽいが、出崎監督一門らしさも感じる。
歌姫夜曲作画集より
難しいアングルで描かれたJ.J。作画は先ごろTAFF2018でアニメーター賞を受賞された凄腕アニメーター岸田隆宏氏の若き日の仕事と思われる。
歌姫夜曲作画集より
なんと、ゴードの店に集う客たちはTVシリーズのゲストキャラだったようだ。よく見るとケリーやボルサリーノの姿も見える。
歌姫夜曲作画集より
歌い終わったキメのポーズ。
歌姫夜曲作画集より
いきなりソラールにひっぱたかれるアップル。
歌姫夜曲作画集より
今度はガードックに髪を引っ張られる。さすがTVシリーズのノーザウォーリアーズの転生らしく、今回の看板ヒロインにも容赦ない。
歌姫夜曲作画集より
バイクのJ.J。表情に修正が入っているが、TVシリーズよりおとなしめなキャラに見えるのは、やはり後藤氏の参加による部分も大きそうだ。
歌姫夜曲作画集より
J.Jとチャンプ。チャンプはTVシリーズより「J.Jの相棒」という側面が強調されているように見える。
歌姫夜曲作画集より
歌姫夜曲作画集より
ホワイトナットー渾身の顔芸。
歌姫夜曲作画集より
ドラマチックなシーン…からのベタなギャグシーンへ。
歌姫夜曲作画集より
崩れるケーキも入念に作画されている。
歌姫夜曲作画集より
蹴りのポーズもカッコイイリックス。
歌姫夜曲作画集より
ここだけ見ると恋愛モノっぽい?
歌姫夜曲作画集より
ラブシーン…と言うにはちょっと物足りないかも。
歌姫夜曲作画集より
TVシリーズ初期を思わせるリックスとの直接対決。
歌姫夜曲作画集より
アニメV1988年8月号および歌姫夜曲作画集より
西久保監督お気に入りのシーン。このお話の主人公がJ.Jではなくアップルであることを象徴するシーンといえそう。
歌姫夜曲作画集より
BDボックス発売記念トークショーでセル画が披露され、会場のファンにプレゼントされたカット。
歌姫夜曲作画集より
ラストシーンのライブの作画は奥田万つ里氏だそうだ。髪の毛の情報量などに顕著な、独特の作画が堪能できる。この同人誌の発売当時は、奥田氏キャラデザ、西久保氏監督のシュラトがちょうど放映中だったと思われる。
また、今回気が付いたが原画スタッフの並びが岸田氏で始まって奥田氏で終わるのは担当シーン順なのだろうか?
歌姫夜曲作画集より
おまけページ。こうして見ると、BDボックスの鼎談でご本人が語ったように、確かに沖浦氏は浜崎氏の持つ少女マンガ的な華麗さを持ち込みたかったように感じる。
歌姫夜曲作画集より
あとがき。ちょうどこの頃にあの宮崎勤事件が発覚したので、この著者の方の危機感が本人の想像を大きく超えて現実となってしまったのは皮肉だ。
歌姫夜曲作画集より
裏表紙。お疲れさまでした。
駆け足で紹介したがこれでも全ページの1/5にも満たないボリュームであり、同人誌とはいえ非常に貴重な作品資料といえる。他にもこういった資料をご存知の方はぜひご教示いただきたい。
次回は、当時のアニメ誌でもっとも充実していたアニメディアの描き下ろしイラストについて。