ZILLION ARCHIVE ROOM(Yahooブログ移行版)

Yahooブログから流れてきたTVアニメ『赤い光弾ジリオン』非公式ファンサイトです。元々は放映30周年を記念する週刊ブログでしたがそのまま不定期で続いています。

マリス原生生物図鑑

赤い光弾ジリオン』は24世紀の植民惑星マリスを舞台にしたSF作品だ。マリスがどのようにテラフォーミングされたかは説明されないが、地球のものと似て非なる原生生物が多数登場することから、元々地球とよく似た環境であったことが伺われる。

今回は、その惑星マリスの個性的な原生生物たちをご紹介したい。

 

1話

なんと主人公J.Jよりも先に画面に登場。リスっぽいが、ここが地球とは異なる異世界であることを印象付ける役割を担っているのだろう。のちの回にも登場している。

 

3話

ジャングル風の土地の湖に生息する、魚とサソリ風の生き物。

 

4話

こちらもリス…というかモモンガ風だがマンガっぽいデザイン。こちらもJ.Jと顔を合わせている。

鳥のほうはリアル調。

 

5話

サルのようなリスのようなリスザル風の生物。アップルの胸に入るところを含め、ナウシカのテトのパロディだろうか。顔はこの回に登場する顔色の悪い博士にそっくり。

 

10話

どう見てもカモメだが…。

 

12話

この回のメインガジェット、磁気を狂わせる海洋生物サラサリ。ガンダムミノフスキー粒子のような存在で、画的につまらないハイテク戦を成り立たせなくさせる効果がある。

 

15話

リアルタッチのトカゲ類、コモドドラゴン風の生物。よく見ると手足が長くてキグルミ怪獣っぽい。

 

17話

1話冒頭に登場したリス風生物が親子になって再登場。ちなみに1話と17話のコンテはどちらも西久保監督が切っている。

鳩にしか見えないが、もしかすると人類が鳩をマリスに持ち込んだのかも?

こちらはツバメ風の鳥。会話シーンに人物を出さずに心象風景的なカットを放り込んでくる西久保演出が炸裂。

 

18話

公園にいる鴨のような鳥。原生生物かどうかはあやしいところだ。

 

19話

どう見てもカエル。タツノコはその初期からハチだのカエルだのを主人公にしてきた会社らしく、擬人化はお手の物だったろう。

 

21話

こちらも鳩っぽい鳥。哀れ、スナイパー・バルガリの試し射ちの的にされてしまう。

 

24話

この回には原生生物が大量に登場する。こちらは突然カメラに映る二足歩行トカゲ。

オパオパの孤独を印象付ける、原生生物の親子たち。

4話に登場したのとよく似た鳥。

オパオパのミッションの犠牲になったお魚たち。

 

27話

川で気絶しているJ.Jのお尻をツンツンする魚。淡水魚だろうか。

 

最終話

ゲストキャラと一緒に1話と5話の原生生物が再登場。

 

番外

2話以降、画面に何度も登場しているノーザのスパイ鳥は、生物ではないので番外扱い。18話のミンミンが飼っていたインコ風の鳥もメカだった他、再登場時にリックスが乗っていた馬も同様だろうか。

1話(と最終話)に登場したアディの相棒、犬のエル。明らかにマリス原生生物ではないのでこちらに。オープニングに登場するフラミンゴや8話の金魚なども同じ理由でリストから外している。

 

今回リスト化するまで、原生生物は各話のその場その場でデザインされていると考えていたが、実際にはちゃんと考えて再登場させていたり、演出の要請でリアル調とデフォルメ調が使い分けられていたり、数自体は少ないものの、意外な発見もあった。本作にはやはり異星を舞台にした『OKAWARI-BOY スターザンS』(1984年)のスタッフが多く参加しているが、基本リアル路線のジリオンでは、スタッフがそこまで遊べなかったのかもしれない。

 

次回更新内容は未定。当時の再放送事情あたりになるかもしれない。相変わらずのスローペースですが、今年もジリオンをご贔屓に。

令和のジリオンファン活動

ジリオンの公式上映会が行われた今年はファンにとって特別な年となったが、ファン活動も公式に劣らない盛り上がりを見せた年でもあった。 日本に留まらない、直近のファン活動をいくつかご紹介したい。

ZILLIONISM wn30thさん

booth.pm

昨年頒布開始された、ジリオン放映35周年記念同人誌。なんと100ページもの分厚さで、マンガ、イラスト、小説、ゲームにパズルと、内容も非常にバラエティに富んだアンソロジーとなっている。 wn30thさんはペンネームの通り、以前本サイトでも紹介したジリオン30周年同人誌「WN30th」も発行されており、その後登場した第二弾「のーざへいがあらわれた!」に続く第三弾となる。 大好評につき、最近2度目の再販がかかったので今からでも入手するすることが可能だ。 ちなみに不肖SiFi-TZKもアクション満載のテキストアドベンチャーゲームブック)及び、aiさん企画のマリス新聞に参加させていただいている。 2023年12月現在、BOOTHにて頒布中だ。

 

また、アンソロジー参加の以下の方々は個別にジリオン同人誌も発行されており、時ならぬジャンル活性化を大いに盛り上げてくれている。こちらも、ぜひともチェックいただきたい。

sky2020.booth.pm

lovezillion.booth.pm

 

ZILLIONIC NOTES aiさん

lovezillion.booth.pm

ZILLIONISMの表紙も手掛けられた美麗絵師aiさん主催のOVA歌姫夜曲35周年記念ライブイベントが今夏に行われており、その演奏を収録したCDが制作されている。出演は、リーダーのちょぱやまさん(ベース、ピアノ、ボーカル、編曲)、Roddyさん(ギター)、花ちゃんさん(ピアノ)、百合野。さん(ボーカル)で、改めてジリオンファンの方々の多才ぶりに驚かされる。

収録曲は以下の通り。

  • 嘆きのKIDS
  • ピュアストーン
  • バスタブの中で
  • マリスの曙
  • フリーディア
  • さよならの街角
  • 僕に翼を
  • Push!

CDはaiさん渾身のイラストを収録したミニ画集付きで、こちらもBOOTHにて頒布中。

 

オパオパアクキー kyanosさん

kyanos-182.booth.pm

近年のジリオンの盛り上がりに伴い、同人誌とともに増加しているのが同人グッズだ。 イベント合わせのグッズは現在は頒布していない物も多い中、こちらはイベント後も頒布を継続されており、遅れてきたファンにはとても嬉しい配慮ではなかろうか。

こちらはアクリル製のオパオパとニュージリオンのセットで、それぞれ分離して使うことも可能となっている。現在、BOOTHにて頒布中。

 

J.Jソフビ one'up/ビッグワンクラフト

bigonecraft.official.ec

こちらは正式なライセンス商品で、正確にはファン活動とは異なるがぜひとも紹介させていただきたい。

去年急遽登場したこちらは全高24cmにもなる大きなソフビ人形で、腕などが稼働しジリオンを構えることも可能。登場当初はタツノコのイベント合わせなのか西武の通販サイトからしか購入できなかったが、現在はビッグワンクラフトから直接購入することが可能だ。

とにかくこの大きさが最大のセールスポイントで、決して安い買い物ではないが、このサイズによる満足度は価格をはるかに上回るだろう。ぜひ実物を確認いただきたいところだ。ビッグワンクラフトさんによると、このJ.Jの売れ行き次第ではチャンプ、アップルも出るかも!?とのことなので期待して待ちたい。

 

ちなみに、今年発売予定だったアートストームのトライチャージャーは、残念ながら発売が1年も延期されてしまった。CM'sの悪夢を知る身としては、このままお蔵入りだけは避けてもらいたいところだ。

 

ゲーム『ZILLION Assault on Maris』 Simon Smoking/Michel Borges

moonkey.itch.io

海外からの参入もある。日本以外のジリオンファンがもっとも多いと思われる南米ブラジルから、Windows用のシューティングゲーム『ZILLION Assault on Maris』のプロトタイプが公開されている。

ゲームはジリオン放映当時のセガの家庭用ゲーム機マスターシステムに登場した『Assault City』(セガ・1990年※日本未発売)にジリオンのキャラクターを載せ替えたもので、当時風のドットで描かれたノーザたちが新鮮だ。

ちなみに今回調べたところ、筆者はこの『Assault City』の制作者の一人(猪ノ口幸治氏)と一緒にゲームを作っていたことがあったようだ。世間は狭い。

 

ブラウザゲームいろいろ SiFi-TZK

home.e00.itscom.net

不肖SiFi-TZKの作ったゲームもご紹介。ジャンプアクション2種、ガンシューティングアドベンチャーゲームをこれまで公開している。

超短編連作アドベンチャーゲームシリーズ「アンフォゲタブル・メモリーズ」は現在まだエピソードを追加中だが、こちらはリアルタイム性はないので、アクションが苦手なプレイヤーも楽しめるだろう。これらはすべてPCやスマホなどのブラウザ上でプレイ可能だ。

 

ジリオンファンサイト 百合野。さん、かんたさん

「令和に更新継続しているジリオンファンサイトだと!?」と言われがちな本サイトだが、実は本サイト以上にアツイファンサイトが存在するのでご紹介したい。

moon2.gmobb.jp

本サイトの書籍化などでお世話になりっぱなしの百合野。さんのサイト。各話イラスト付きの全話紹介は圧巻!

blog.livedoor.jp

こちらもなにかとお世話になってるかんたさんのよろずサイト。イラストありガレージキットありイベントレポあり、その行動力に脱帽。

 

じりおん屋 aiさん

最後に、「じりおん屋」が今月の冬コミにも出展されるのでご紹介。これまで紹介した同人誌やCDなどのグッズに、セクシーなアップルタペストリーなど新アイテムも追加した怒涛のラインナップが展開予定。玄人はだしのクォリティのフリーペーパーも頒布されるそうなので、買う予定のない方もぜひお立ち寄りいただきたい。SiFi-TZK作のジリオンかるたや同人誌も置いていただけるそうです。

 

来年以降もこの勢いが続くかはわからないが、当時の日本のファン層と、地球の裏側でこれまで接点のなかったブラジルのファン層とによるここまでのジリオンの盛り上がりは、公式も予想できなかったのではないだろうか。自分も可能な限り、このムーブメントに貢献していきたい。

 

次回は、懸案の「マリス原生生物図鑑」を展開予定。それでは良いお年を&引き続き良いジリオンライフを!

36周年!タツノコ・レトロスペクティブ《SF・アクション篇》『赤い光弾ジリオン』上映会レポート&トライチャージャー新作TOY

昨日は『赤い光弾ジリオン』の本放送開始日からちょうど36年!ということで、今回は前回に引き続き、今年2月4日に行われたジリオンの上映・トークイベント「タツノコ・レトロスペクティブ《SF・アクション篇》『赤い光弾ジリオン』」のトークショー以外の部分のレポートと、そこで展示されていたトライチャージャーの新作TOYの情報をお届けしたい。

当日のミクサライブ東京入口の掲示


発売前のトライチャージャーが展示されていたのは、ホールミクサの地下入り口近くの、チケットのモギリスペース。写真で見たときにはちょっと質感がプラスチッキーすぎるのではないか、と懸念していたが、実物を目にすると意外と気にはならず、サイズこそ大きくないものの細かいディティールがよく作り込まれており、これで完全変形となればファンならマスト!といえるアイテムとなりそうだ。

展示されていたトライチャージャー(試作品)

劇中のトライチャージャーは大きさが一定せず、放映当時に発売されたトイも人形と比べてかなり大きなものだったが、今回は大きすぎず、やや現代風なマッシブなメカに味付けされており、35年の模型業界の技術の進化を感じる。
付属のJ.Jフィギュアも(変形の都合で)やや細身だが、特徴的な髪型の処理を含めてよく造形されており、表情を変えられるヘッドパーツやハンドパーツ、新旧ジリオンも付属しヘッドギアの着脱も可能と、これまでメカニックフィギュア専門だったメーカーが出すものとしてはほぼ満点のスペックと言えるのではないかと思う。
トークショーでは今回のトライチャージャーの反響次第でチャンプやアップルの登場もありうる、と仄めかされており、今後にも大いに期待したいところだ(筆者はすでに予約済)

youtu.be

 

直近のジリオンの商品といえばイベント限定、後にマルイ限定通販で販売された巨大J.Jソフビがあるが、こちらの展示や販売はなかった。こちらは後日紹介予定。
他には当時発売されたニュージリオン(シューティングセット)とアニメディア別冊『赤い光弾ジリオン完璧版』、およびアニメディア1987年10月号ふろくの冊子「ジリオン99の謎」が展示されており、後者はトークショーでも質問のタネ本として使われた(こちら)。
セレクション上映前のシアターではジリオンサウンドトラック1が流れており、30年以上ぶり(前回はおそらくOVA歌姫夜曲の発売イベント)の上映に向け、観客のテンションはより高まったのではないだろうか。


チケットは完売とのことだったが、後ろの座席には空きがあったようだ。トークショーで石川氏に暴露されたようにタツノコの伊藤社長などの来賓があったので、空いていた場所は関係者席なのかもしれない。そう考えると観客の数は100〜120人程度だろうか。見た感じでは、やはり自分と同世代くらいのアラフィフ世代が多かったように思われ、また、男女ともに人気があったジリオンだが、今回は男性の比率が高かった。イベント終了時間が遅いのと、トークショーに登壇されるのがキャストではなくスタッフということで、濃いファンのみが集まったからかも知れない。

上映されるエピソードは事前には公開されておらず、始まったのが何話かは上映で判断しなくてはならないが、何度も見返している筆者などは「OPが旧ジリオンだから激闘編じゃないな…」等、限られた情報で予想を絞っていくのも楽しめた。ラストの上映が17話だと判明したとき観客席からもちょっとしたどよめきを感じたが、自分的には予想外のエピソードであったように、同じような人が多かったのだろうか。
なぜ1話、16話、17話が選ばれたのか?は(こちら


スクリーンで見るジリオンはとても新鮮で、特に1話、16話のクオリティの高さには目を見張るものがあった。反面、1話のシャトル撃墜時の撮影のガタツキなどはスマホでの鑑賞であればほぼ気にならないが、大スクリーンではかなり目立った。音声がモノラルである点含め、作画こそ劇場クラスではあるものの、他の点ではやはりTVアニメの厳しい予算、期間内で精いっぱい作られた作品なのだと改めて感じることができた。
先に上映を見たことで、その後のスタッフトークの解像度が非常に高まったのも印象的だった。新旧ジリオンの描き分けの話などは、まさに今回うってつけの話題だったと思われる。
次回があるならばステレオ音響で制作されたOVA『歌姫夜曲』あたりの上映を期待したいところだ。

最後に、35周年イヤーの掉尾を飾る、令和初のジリオンイベントを企画していただいたたイベントスタッフや、登壇いただいた当時の制作者の方々、イベント前と後に熱くトークさせていただいたtwitterフォロワーの方々に感謝いたします。

イベント前に日本各地やブラジルから集合したジリオンぬい達


次回は以前の予定通り、ブラジルで制作されたファンメイドゲームや、発売されたJ.Jソフビ、公式グッズなど、最近のジリオン事情を紹介予定。

タツノコ・レトロスペクティブ《SF・アクション篇》『赤い光弾ジリオン』トークショーレポート

今回は予定を変更して、2月4日に行われたジリオンの上映・トークイベント「タツノコ・レトロスペクティブ《SF・アクション篇》『赤い光弾ジリオン』」のトークショー部分のレポートをお届けしたい。

当日の池袋ホールミクサの掲示

このイベントは1月11日に突如予約が開始されたもので、ファンにとっても本当に寝耳に水といえる出来事だった。主催はAnimeDRIFTER、タツノコプロの60周年企画「タツノコ・レトロスペクティブ《SF・アクション篇》」の一施策という形をとっており、『マッハGoGoGo』(1967年)『機甲創世記モスピーダ』(1983年)『科学忍者隊ガッチャマン』(1972年)に続く、第4弾となる。 イベントは二部構成で、第一部がTVシリーズから3話のセレクション上映、第二部が今回レポートするトークショーとなる。

トークゲストは当時の制作プロデューサー石川光久氏(こちら)、キャラクターデザインの後藤隆幸氏(こちら)、作画監督や版権イラストでおなじみの浜崎博嗣氏(こちら)と黄瀬和哉氏(こちら)。2016年のブルーレイBOX発売イベントと比較すると、西久保監督と植田もとき氏が抜け、石川氏が入った形となる。ジリオンのイベントに石川氏が登壇するのは初ではないだろうか。
個人的には、後藤隆幸氏は5年前(2017年12月)の後藤隆幸氏の個展で開催された「後藤隆幸西久保瑞穂お話し会」(こちら)以来、他の方々については今回初めてお姿を拝見することになる。

 


以下のテキストは例によってメモを元に再構成しているため、発言の前後関係や言い回し、ニュアンスは実際の発言とは異なること、あとから訂正があった場所の修正や、一部表現を変更している部分があることにご留意いただきたい。
自分のメモから抜けた部分を補足いただいた maris_blueさん、aiさん、黄瀬さん(!)、ありがとうございました。極力元発言の意味を変えないようにしていますが、間違いがあった場合の文責は筆者にあり、ご遠慮なくご指導、ご指摘いただければ幸いです。

 

日時:2023年2月4日20時〜22時
場所:ホールミクサ(東京 池袋)

 

―司会(ロボ石丸氏) では、自己紹介からお願いできますでしょうか。
石川光久氏(以下、石川) 制作プロデューサーをやりました、「アイジー竜の子」の石川です!(拍手) なんか…いっぱい来てもらって、感激しております。
後藤隆幸氏(以下、後藤) キャラクターデザインと1話の作画をやりました、後藤と申します。
黄瀬和哉氏(以下、黄瀬) 作画監督と原画の黄瀬です。先日も(ブラックマジックの上映会で)ここにいた気がしますが…(会場笑)椅子が一個ズレました(笑) ジリオンでは、ほぼ水村(良男)さんの回の原画をやっておりました。
浜崎博嗣氏(以下、浜崎) 浜崎と申します。作監とゲストのキャラクターデザイン、版権なんかもやらされてました(会場笑)
 
ーなお、本日は監督の西久保(瑞穂)さんにはご登壇いただけなかったのですが、先日のブラックマジックでの写真(1/14にOVA『ブラックマジックM-66』のイベントがあった)をお送りしたところ、お返事をいただいております。
「お写真ありがとう。懐かしい顔が見えますね。黄瀬さんが一番若く見えました。イベントのスタッフさんにもありがとうと伝えて下さい。
イベントの成功を願っております。出演者の方々によろしくお伝えください」
……イベントの成功を、とのことですが。本日は満員御礼!大成功ではないでしょうか!(拍手)

―今回の上映回、クイズの答えは1,16,17話でした。どうしてこの話数を? ※事前にどの回を上映するかのクイズが参加者に伝えられていた
石川 うん、これはごっちゃんから
後藤 え、僕ですか!?えーと、自分が出した意見を元に検討するのかと思ったら、そのまま通ってしまって。1話は発端だし、唯一自分のやった話でもあるので(笑)、16話は浜さんの作画、で16話を見たら17話も、と。16,17話は続きモノなので。
石川 石川が選ぶなら1,2,23話かな、と。でも実際見たら16話がすごく良かった。1話は西久保さんとごっちゃんに組んでもらって空気感と優しさが、2話が押井(守)さんと浜ちゃんでシャープさを。貞光(紳也)さんと井口(忠一)さんには予算を抑えてもらって。2話は(絵コンテが)押井さん、16話はうえだ(ひでひと)さん。(うえだ氏のペンネーム)「綴爆(スペルバク)」って「スピルバーグ」のモジリなんだけど、うえだ節が効いてる。うえださんの話してよ浜ちゃん、スターザンS(『OKAWARI-BOY スターザンS1984年)大好きでしょ?
浜崎 いや、ここはジリオンの席なので(苦笑)
石川 まぁ、押井さんやうえださん、色んな人の個性が見えるのがジリオンのいいところ。2話でパトロール兵が1分くらい延々と歌う渾身のコンテを押井さんが描いたんだけど、これホントにやる?って西久保さんに聞いたら、「うん、切る。要らない」と(会場笑) それを西久保さんが覚えてて、17話の「山口直樹」って西久保さんのペンネームなんだけど、17話のハーモニカのシーンに生かしたんだろうね。
―黄瀬さんはどうです?
黄瀬 僕が選んでも浜崎さんの16話と、17話は選ぶと思う。17話は沖浦(啓之)さん…って、なんでいま「さん」付けしたんだ俺?(笑) ※黄瀬氏と沖浦氏はアニメアール時代からの長い付き合い
浜崎 選んでいただいて光栄ですね…どうもありがとう。
石川 沖浦は別の仕事(ブラックマジック)をやってて最初できない、って言ってたけど、(なかむら)たかしさんの原画をもらえるならやります、と。すごい原画が報酬って、やっぱり沖浦もすごいよ。

―話数クイズの正解はお一人!(会場拍手) 登壇者の直筆色紙をプレゼントします!

 

―OPの文字が逐次的に出るのはどなたが?
石川 西久保監督は音楽にすごくこだわる人。おそらく西久保さんとたかしさんで決めたんだと思う。

 

―皆さんはどうして作品に関わることに?
石川 今日はタツノコの伊藤(響)社長も来てるので…(会場笑) でも、当時のタツノコは本当に大変だったので、こういうときこそいろんな(外部の)血を入れて…と。戦ったんですよね。生まれて初めて人前で泣いたんですよ、「大人はわかってくれない!」って。
石川 11月に退社届を出して、12月の送別忘年会で突然(ジリオンの企画を)やる気になったんです。12月の30か31日に京都アニメーションの八田(英明)さんに相談したら、「やれるよ!」って話になって。これでアニメから離れるつもりで、最後の作品として全力を注いだ。
後藤 ドテラマン』(1986年)をやってたんですけど、キャラコンペがあって。自分以外にはフリーでタツノコに出入りしていたタケさん(武田一也氏)、浜さん、水村さんもいて。このメンツじゃ無理だなー、と思ってたんですけど。決まってしまいました(笑)
黄瀬 自分は師匠の(スタジオムー代表の)村中さんからの話で普通に(仕事が)来た、って感じでしたね。水村さんの回が多くて、最初第4話をやってたら、1話の担当者がバックレてしまったので、4話をほったらかして1話に参加した、と。
石川 4話、アップルの水着姿が良かったよね。
黄瀬 ありがとうございます…でいいのかな?(笑) あれはグラビアとか見て描きましたね。
浜崎 竜の子アニメ技術研究所からキャラコンペに参加しました。久々に等身の高いアクションだし、プロデューサーも若くて、これはチャレンジできる企画だと思いましたね。
浜崎 研究所は2班あって、自分が中のスタッフと、水村氏が黄瀬さん(大阪のスタジオムー)など、外と仕事してたんで、水村氏や黄瀬さんなどの原画も見れて、勉強になりましたね。
石川 大阪に行くと、黄瀬が飲みのときだけ顔出すんだよね。飲みのときだけいる(会場笑) あれはなんで?
黄瀬 あれは最初井口さんで。ウラシマンが終わったあたりで、井口さんが自分や大川さんを連れてディスコに行ってたんですよ。
石川 井口さんか!…そういえば、浜ちゃんもディスコボーイだったよね?
浜崎 ええ、まぁ(笑)

 

―どうして光線銃が主役のアニメになったんですか?
石川 オモチャが先にあったんです。それをアニメにした。ロボものと同じで、商品ありきの企画なんだよね。
ーオモチャの銃からどうしてSFアニメにすることに?
石川 (メイン脚本家で設定協力の)伊東さんと(監督の)西久保さんが決めたと思う。設定は(文芸の)関島(眞頼)さんが頑張った。
後藤 ジリオン銃、あのコードはアリなの?とか、オープニングでどうやってクルクル回してるの?とか(笑) 最近知ったけど、スポンサーがセガなのにジリオンの射撃音はカプコーン!カプコーン!って聞こえる、って(場内爆笑)

 

―では次は…あ、ここに当時の「99の謎」って本(アニメディア付録)があって、コレ色々当時の裏話が載ってるんです。
石川 え、そうなの?よく99もあったなぁ。 ※「99の謎」を借りて熟読し始める石川氏
石川 …この「99の謎」は関島さんによる後付だと思う。最初から決まってなんかいない、作りながら決めてった。…こういうゲストキャラはごっちゃんだっけ?
後藤 いや、自分はやってないです、そちらの方(浜崎氏)です(笑)
浜崎 …ゲスト、描きましたね。パトロール兵の元ネタは元自衛官の金子(浩司)さんと自分で。16話の(J.Jの昔の仲間の)楊枝くわえたヒゲの人は木村(信一)さん。タツノコ作品はスタッフが画面に出てくることがよくあったんで。内輪受けですけどね、その伝統に自分も乗った、と。 ※金子氏、木村氏とも当時の竜の子アニメ技術研究所所属

 

―第1話のアップルのデータが出るところで「後藤さんはスケベです」って書かれてる、とネットで話題なんですが(笑) ホントのところどうなんですか?
後藤 えー!? それは…正しいです(笑)

石川 これさぁ、いま見るとJ.Jは実は西久保さんだったんだなぁ、と思うよね。アップルは(アップル役の)水谷(優子)さん。だから結婚したと思ってる。チャンプはごっちゃんだよね。
後藤 To-yをモデルにしたんですけどね。アップルは(『きまぐれオレンジ☆ロード』の)まどかで。エイミは鐘夢(こちら)の武田(一也)さんが描いたのをリライトしてくれ、と言われて描いたんです。
石川 エイミはミニスカなんだけど、17話のエイミ、沖浦の脚フェチぶりがしっかり見えるよね(笑)

―デイブはどうですか? 自分(司会のロボ石丸氏)は同じ身長体重なんで親近感があるんです。
後藤 デイブのデザインは、あんまり悩まずに出てきたかなあ。

―せっかくなんで、あとレギュラーはゴードでしょうか。初めて知ったんですが、ゴードってまだ40代なんですね。
後藤 ゴードやバーンスタインは、まだ20代だった自分が考えた40代なんで。年齢というよりは、キャラクターのイメージから絵にしていったと。ヒゲの有無とかは監督とキャッチボールで決めた…はず(笑)

 

―メカとかはマクロスっぽくも見えます。
浜崎 寺岡(賢司)さん(メカ岡くん)がマクロスに参加できなかったフラストレーションを16話にぶつけてましたね。作画監督としてはラクさせてもらいました。

 

―ノーザ兵も印象的でした。喋らないのが怖くて。
後藤 ノーザのデザインは表情を出さずに怖い感じに、というのはありましたね。キョンシーは当時あったかな? ※ありました

―激闘編から出てくるノーザウォーリアーズは?
後藤 いえ、あれは井口さんデザインのはず。

―なんで激闘編になったんでしょう?
石川 元々話数は決まってたんだけど、前半のクオリティを続けるのはそもそも無理だったんだよね。だから間に再放送を入れてストックを増やした。

―実は今日、メカデザイン協力(ニュージリオンのデザイン)の青井邦夫さんも来場されています!(拍手) ニュージリオンのデザイン原画をお借りしています(ゲストたちが興味深そうに閲覧)

後藤 セガさんは最初のジリオン銃はくれたけど、新しい方は送ってくれませんでしたね? 一丁だと対戦できないんで、的に撃つしかできない(笑)
浜崎 あの、胸につけてるアレは何? ストーリーでなにかに使いました?(会場笑)
後藤 あれは元(オモチャ)からだから。みんな思ってた(笑)
石川 アレ使うようなことあったら死ぬから!(会場笑)
後藤 前のジリオンは、あのコードを描くのが大変で(笑)
浜崎 自分はコード付いてる方が好きかな。不自由なところにサスペンスがある。無限に撃てる銃じゃないのがいい。短所こそが長所になるんです。
黄瀬 自分も前のやつが好き。形がカンタンだし、色が暗くて線が誤魔化せるし(場内笑)
後藤 メカもよく動いてたよね。
浜崎 トライチャージャーの変形は太田(大雅)くんが喜々としてやってくれたので、作監は楽だった。メカは好きな人がいるんでね。
石川 そう、水リン(水村良男氏)も車やバイクが上手い。西久保さんが信頼してるよね。ビッグポーターの発進シーンを描いてる。
石川 これは言っときたいんだけど、たかしさんのOP、トライチャージャーが小さい。多くのアニメーターはメカと人物を別々に描くけど、たかしさんはまとめて描く。メカと人の一体感が素晴らしい。
後藤 トライチャージャーは元々3本指だったんですけど、途中で5本指になったんで、初期の絵とかは3本指のが残ってたり。どこかからクレームが入ったのかな。
石川 放送コードか、実はそれもなくて自主規制とかかもね。あと枚数を使うな、とは言われたけど、枚数は使った(笑) 改めて観るとやっぱりすごいよ、タツノコは爆発がハンドトレスで手間かかってる。サンライズはトレスマシンだから。

―サブタイトルのあの文字はフォントがあるんでしょうか。
浜崎 動画チェックの(菊池)市松さんが描いてましたね、一人で。
―それは大変でしょう!
浜崎 いや、それが本人楽しんで描いてたみたいで(会場笑)

ジリオンといえば音楽も印象的でした。入江純さんが起用されたのはどんな経緯でしょう?
石川 西久保さんは音楽に造詣が深い。レコード会社の推薦してきた候補の中から、監督が選んだ形だと思う。
後藤 上映観て、最初の音楽とかナレーションに時代劇感があるな、と(笑)
石川 みんな若かったよね。大月(俊倫)さん、って後にエヴァを作った人なんだけど、彼がスターチャイルド(レーベル)を作った。ジリオンの発射音はエヴァとかやって、いまは大御所になってる野口(透)さんが新人のときに作った。いや、当時まだバイトだったんだっけ?

ジリオンの放送当時の評判はどうだったんでしょう?
石川 制作してる当時は寝る場所も時間もなくて、国分寺の南ビルの屋上でサマーベッドで寝てた。評判がどうとか考える暇がなかった。
後藤 一番恩恵受けたのは俺かなー(笑) グロス受けならスタジオが回ると思って(スタジオ)鐘夢のみんなに聞いたら、アクション物は大変なのでやりたくない、と。でオレンジロードとかやって。オレンジロードが終わったので歌姫(OVA赤い光弾ジリオン 歌姫夜曲』)はやれることになったんです。
石川 歌姫は後藤隆幸がやります!ってことで通ったんだよ。

―ここで大事なお知らせです。ポーズプラスからトライチャージャーがJ.Jフィギュアとセットで出ます。わかります、J.Jだけじゃなく…これが売れたら残り二人も出るかも? というとこで、ぜひ予約お願いいたします! 石川さん、今の世にジリオンの商品が出ることについてコメントを…
石川 ごめん聞いてなかった(場内爆笑) いや、このメンツを見ていろいろ考えてた。このすごいアニメーターたちを紹介したい。
石川 黄瀬はカメラのレンズを変えてレイアウトが描ける。マクロス庵野さんがレンズをきちんと考えて描いてたのに動画で直されたんだ、と黄瀬が力説してて。そのとき黄瀬はマクロスの隣でウラシマンをやってた。
石川 西久保さんは、ごっちゃんの優しい顔が気に入ったんだよね。優しさ、布の質感までこだわる丁寧さ、顔に出てる。「何を任せるか」は、顔で決めてる。
石川 浜ちゃん…浜ちゃんは、ズルい。
浜崎 (笑)
石川 浜ちゃんはチャンプのまつげとか、キャラをすごく魅力的に描くんだよね。だからマッド(ハウス)に行ったのは納得かも。

―じゃあ今度は逆に、石川さんのすごいところを紹介いただきましょう。
後藤 やっぱり、IGが大きくなったのは石川の力だと思うし、冒頭にもありましたが話はめちゃくちゃなんだけれども、それが色々なクリエイターを惹きつけてくる。人が集まってIGの作品をやって、作品もどんどんグレードアップしていって…というのが、宮崎駿さん…までは行かないとしても(笑)、そういう傾向があるのかな、と思います。
黄瀬 さっき本人も言っていましたけれども、「結局人の話は聞いてない」(笑) 話は聞いていないけど、考えているのはずっと考えている。非常に助かってもいますし、30何年も食わしていただいて、本当に感謝の至りです。なんとか恩返ししようと思ったら会長になっちゃったんで…(笑) あと、こっちも残り少ないんで、頑張って恩返ししていきたいです。
浜崎 研究所に来てた石川さんを見て、なんて軽い人なんだろうと。カットの上がりを待ってるはずなのに、スタジオの女の子とずっと話してる。見た目も…髪の毛ボサボサでね、今までにいないタイプというか、ひとの警戒心をなくす性格というか。IGをここまで作りあげた力って、そこに集約されるのではないか、と。まあ私は、いまIGにはいませんけれども(笑) …あれ?何回か誘われたっけ?
石川 さっきディスコの話がありましたけど、浜ちゃん女の子にめちゃくちゃモテたよね? 自分から行く、って感じは全く見せないけど、まぁそのあたりがモテた、っていう。
浜崎 まあ、石川さんとか僕じゃなくても、若いっていうのはツルツルしてないんですよね。みんなドロッドロしてた。そんな中にね、ライトな感性がみんなを引っ張って来た…と(後藤氏を見る)、ヨイショしておきますけれども(笑)
浜崎 本当、「欠点は長所」というのも、ひっくり返してみると(ひっくるめて)「ひとりの人」ということでありますから。人間はすべてそうである、と思っております。

(ここからQ&A)

Q 当時の雑誌とか見ると、声優さんがセガの保養所に行ったとかの記事がありました(?)スタッフの方も行かれたんでしょうか。
後藤 それは知らないです。打ち上げで真鶴には行きましたね…シャボテン公園に(笑)

Q 監督に西久保さんを起用した理由は?
石川 (黄金戦士)ゴールドライタン(1981年)で一緒にやってたんです(こちら) タツノコ四天王でもあり、すごい人だと思ってて。ジリオンを成立させるのには、西久保さんの力が必要だった。

Q 最初に京アニの八田さんに相談した理由は? 京アニとのエピソードなどありましたら。
石川 仕上げに厳しい会社だったのでお願いした。監督と同じく、作品の必須要素でしたね。
黄瀬 パトレイバーのとき(『機動警察パトレイバー the Movie』(1989年)?)に作監として来てくれ、って言われて京アニに派遣されましたけど、遠いし朝早いしで3日でめげましたね(笑)

Q J.Jの撃ち方やアクションの見栄の切り方、ポーズなんかはどうやって決めた? 設定にあるのか、参考にした映像などがある?
後藤 アクションは絵コンテで決まり、原画が細かくポーズを起こすんで、設定書では特に決めてないです。
浜崎 1話と2話が同時進行だったから参考もなにもなく、考えながら描いた。光線銃は反動がないはずだけどどうする?とか(会場笑) J.Jならノリでワザとやるかな?とか。研究所の中でも、熱意のある人は頑張ってましたね。

黄瀬 いまだったらジリオン作画崩壊って言われる。作監ごとに絵が違うからね。
後藤 一話完結でこういう実験できる作品は欲しいですねえ、いまは難しいかもですが…。
浜崎 いや、いまこそ必要です、やるべきです。つくり手がモチベーションを持てる作品を。

―あっという間にお時間になりました。一言ずつお願いします。
石川 36年も作品を観てくれてありがとう。ここの3人の味を、また出していきたい。
後藤 自分のアニメーター人生で大きな作品。いまだ後輩とかにジリオン観てました!と言われるんです。ジリオンやっててよかった…(感涙)
黄瀬 ここで久々に観ました。昔の自分の仕事は見たくない。なのにちょくちょくオファーがある。行きつけの飲み屋のマスターが30代なのに、絵を描いてくれ、とリクあったのがJ.J。すごく愛された作品で。
浜崎 ガムシャラに、自分のことばっかり考えて仕事してたのに、ファンがこんなおじさんおばさんになっても観に来てくれて、本当にありがとうございます。

―今回色々質問考えてたんですが、時間ぜんぜん足りませんでしたね。ジリオン、次の機会が必要じゃないかと!(拍手)

―登壇者の直筆色紙あと2枚は、座席ナンバーの抽選で行います! 最後にゲストの方、告知あります?
黄瀬 あ、『火狩りの王』(https://hikarinoou-anime.com/)をよろしく。

(ここからゲストがジリオンを持って撮影タイム。主催では2丁しか用意がなかったので客席から新旧ジリオンを1丁ずつ借りる一幕あり)

さすが射撃ポーズも決まっている石川氏、後藤氏、浜崎氏、黄瀬氏

 

次回は、このイベントの感想と、そこで展示されたアクションTOY「トライチャージャー&J.J」についてを予定。前回の予定はそれ以降とさせていただきたい。

制作プロデューサー石川光久氏とプロダクションI.G

 

今回は、ジリオンのリアルタイムの動きが立て続けにあったのでまずはそれをご紹介したい。

 

まずは、もう半ば恒例となりつつあるジリオンのオンラインイベント「ホワイトナッ党 党員集会3激闘編(ジリオン放送35周年記念)」が2022年11月20日に開催される。

内容はファンの同人誌やグッズなどの頒布や展示、および交流会となり、参加にはオンラインイベントを提供するプラットフォーム pictSQUAREへの事前登録が必須となる。

ZILLION ARCHIVE ROOMも今回ゲームカテゴリ(無料)で参戦予定なので、ぜひお立ち寄りを。

pictsquare.net

 

次はいきなり告知されたビッグニュース。『赤い光弾ジリオン』の主人公J.Jのソフビ人形がビッグワンクラフトより登場する。

サイズはなんと28cmの超ビッグサイズで、2022年10月18日~31日に西武渋谷店にて開催される「‐60th ANNIVERSARY‐ TATSUNOKO ART JAM 2022」に出展予定とのことだ。販売についてはイベントでの販売の他、西武やビッグワンクラフトでの通販を検討中とのことなので、今後の情報を待ちたい。

 

最後はこれまでも告知していた、POSE+のトライチャージャーTOYの最新情報。商品構成の詳細が多数の写真とともに発表され、各販売サイトで予約が開始された。価格は¥28,000、発売日は来年2023年の10月となる。

youtu.be

一年後の発売まで、こちらも楽しみに待ちたい。

 

それではやっと本題。

プロダクションI.G社長として、長くアニメ業界にその名を轟かせていた石川光久氏は、今年(2022年)8月に社長を退任し、代表権のある会長に就任した。

赤い光弾ジリオン』第15話に登場したイシカワ中尉

石川氏がのちの「プロダクションI.G」となる「アイジー竜の子」の社長となったのは1987年12月15日。氏が制作プロデューサーを務めた『赤い光弾ジリオン』最終回放映のわずか2日後の出来事だった。
今回は、ジリオンに至るまでの石川光久氏の軌跡と、アイジー竜の子の成立までを辿ってみたい。

『軌跡 ProductionI.G 1988-2002』より石川氏(左)と後藤氏

石川光久氏は東京、八王子の農家の生まれで、子供のころは経済的に苦しい生活だったようだ。そこで石川氏は両親や兄から、節制と謙虚さを身に着けることの大切さを教わったという。

氏は学校では野球部に所属し、キャプテンまで務めていた。ただし、プレイヤーとして上手かったわけではなく、そのサポート力の高さが部員から信頼されていたから、ということらしい。
この「節制」と高望みをしない「目前の仕事に全力を尽くす」こと、「仲間への手厚いサポート」は、のちにアニメーション業界に足を踏み入れた石川氏の強力な武器となっていく。

石川光久『アニメーション業界・異端児プロデューサーの 現場力革命』より

大学進学後は学校にも行かず、アルバイトと海外放浪に明け暮れていた石川氏は、ある時「文楽」の公演を見、その感動のまま「八王子車人形」一座に転がり込む。
その車人形一座が海外巡業を行うことになり、留守番役となった石川氏は、その間のアルバイトとしてタツノコプロダクションを訪ねることになる。

『軌跡―Production I.G 1988‐2002』より

その初担当作品が、真下耕一氏の初監督作品でもある『黄金戦士ゴールドライタン』(1981年)(こちら)。この作品にはタツノコをすでに出ていた押井守氏や西久保瑞穂氏も参加しており、ここで西久保氏の仕事を見たことが、のちのジリオンでの西久保氏の監督招聘に繋がっている。

 

『軌跡―Production I.G 1988‐2002』西久保瑞穂氏インタビューより

ゴールドライタンでアニメ制作の面白さに目覚め、会社やスタッフの信頼を得た石川氏だが、TVアニメ制作の激務は人形芝居との両立を許さず、氏は車人形一座を破門されてしまう。とはいえ、そのままアニメ業界に居ついたわけではなく、1年間のライタン制作終了後、ここでまたしても長期海外放浪の旅に出ている。
石川氏がタツノコに戻ったのは本当に偶然の再会があったからだった。その偶然がなければジリオンも全く違った作品になっていただろうし、もちろん、プロダクションI.Gはこの世に存在していなかったろう。

梶山寿子『雑草魂 石川光久 アニメビジネスを変えた男』より

石川氏は真下耕一氏の監督第2作『未来警察ウラシマン』(1983年)(こちら)に今度はタツノコプロの社員として参加、シリーズ途中から制作デスクに出世する。

未来警察ウラシマン倶楽部』より

上記の本が出たのは1984年。当時25歳の石川氏は「1日でも早くアニメから脱走したい!!」と書いているが、2022年現在もアニメに関わっている。

 

氏はその後、『OKAWARI-BOY スターザンS』『よろしくメカドック』(ともに1984年)『炎のアルペンローゼ ジュディ&ランディ』『昭和アホ草紙あかぬけ一番!』(ともに1985年)、『光の伝説』『ドテラマン』(ともに1986年)(こちら)と順調にキャリアを積み、タツノコの主力スタッフとして力をつけていったが、それとは裏腹に、当時のタツノコの内情には疑問を深めていたようだ。

『語れ!タツノコ』石川氏インタビューより

アニメに対する情熱を失いつつあった石川氏は辞表を提出するが、同時期(1986年12月ごろ)にタツノコではリストラが発表され、多くの主力スタッフとともに、石川氏もその対象に入っていたという。それを聞いた石川氏は一転、「すごいアニメを作って会社をひっくり返したい」と俄然やる気を取り戻す。

赤い光弾ジリオンBlu-ray BOXの石川氏インタビューより

当時アニメアールに所属していた沖浦啓之氏や黄瀬和哉氏(こちら)、タツノコOBでOVA『デジタルデビル物語 女神転生』(1987年)(こちら)を制作中だった西久保監督など、主要スタッフを口説き落とし、信頼していた京都アニメーション八田夫妻(こちら)の協力を取り付け、実家の資産を抵当に入れ、瞬く間に準備を終えた石川氏はフリーのプロデューサーとして「ジリオンの制作を自分に任せて欲しい」とタツノコに直談判する。

『世界エンタメ王 プロダクションI.G物語』より

社内では反対の声も大きかったが、最終的には石川氏の掲げたスタッフィングが評価され、「竜の子制作分室」として石川氏の新スタジオがスタート。見事に一年間の『赤い光弾ジリオン』全31話の制作をやり遂げ、その高いクォリティも相まって、ジリオンタツノコ久々のヒット作品となった。

『軌跡―Production I.G 1988‐2002』より

最終回の放映された1987年12月13日と14日にかけて、ジリオンの主力スタッフとキャストは真鶴への打ち上げ旅行を行っている。

『別冊アニメディア 赤い光弾ジリオン完璧版』より。おそらく後列左から3人目が石川氏

帰京後の明けて1987年12月15日。この記事の最初に触れたように、石川光久氏の「竜の子制作分室」は後藤隆幸氏の作画スタジオ「スタジオ鐘夢」(こちら)と合併、京都アニメーションタツノコプロの出資も受け、「アイジー竜の子」が誕生した。

アイジー竜の子はキングレコードから初元請となるOVA赤い光弾ジリオン 歌姫夜曲』(1988年)(こちら)を受注して以降、『機動警察パトレイバー劇場版』(1989年)、『機動警察パトレイバー2 the Movie』(1993年)、「プロダクションI.G」に改称後の『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(1995年)など、おもに押井守監督作品で世界トップクラスのアニメーションスタジオとして気を吐いた。

押井守監督の作品が乏しい近年はブランドイメージに変化はあるものの、I.Gグループは変わらず精力的に新作アニメを制作中だ。ジリオンに始まる石川・後藤コンビのアニメーションへのあくなき挑戦は、2022年の今日現在も続いている。

『世界エンタメ王 プロダクションI.G物語』より

次回は、ブラジルで制作中のジリオンシューティングゲームや、放映35周年記念のアンソロジー本など、近年にわかに盛り上がるジリオンファンの活動を紹介予定。

『赤い光弾ジリオン』35周年。伊東恒久氏がジリオンに込めたもの

赤い光弾ジリオン』の記念すべき第1話の放映から、今日で35年となる。
今回は予定を変更して、先日亡くなられた第1話の脚本家、伊東恒久氏(こちらこちら)がジリオンに込めたものを再検証してみたい。

伊東恒久氏(OUT1986年10月号より)

伊東恒久氏がジリオンで担当した脚本は以下の通り。

  • 第1話「コードネームはJJ」
  • 第2話「頭上の敵をうて!」
  • 第4話「姿なき忍者部隊のわな」
  • 第7話「死闘!JJ対リックス」
  • 第10話「炎!リックスの逆襲」
  • 第11話「ニュージリオン誕生!」
  • 第14話「戦場のナイチンゲール
  • 第18話「ノーザの美しき挑戦」
  • 第23話「恐怖!魔のバイオ兵器」
  • 第29話「壮絶!リックス死す!?」
  • 第30話「惑星マリス絶体絶命!」
  • 第31話(最終回)「勝利のラストシュート」

これらの他、1話を書くにあたって必要な世界設定、キャラクター設定の多くも伊東氏の手になっている。おそらくはその関係から、氏は「設定協力」としてメインスタッフとしてもクレジットされている。

赤い光弾ジリオン』OPより

その他、伊東氏が構成を担当した総集編ビデオに「JJ対リックス 宿命の対決」(DVDやブルーレイにはなっていない)もあり、これらを手がかりに伊東氏の仕事を検証したい。

担当エピソードを一覧してまず最初に気づくのは、非常に多くのエピソードを担当している(参加ライターでトップ)こと、そして、レギュラーキャラクターの初登場回をすべて伊東氏が担当している(1話、7話、23話)ことだろう。マリス側はもちろん、シリーズ途中から登場するアドミス、ノーザウォーリアーズの初登場回も伊東氏が執筆しており、これらのキャラの設定も伊東氏が多くを担っていると思われ、全体のストーリーを統括する「シリーズ構成」がいない作品ながら、実質的に伊東氏がシリーズ構成に近い立場だったと思われる。

別冊アニメディア赤い光弾ジリオン』完璧版より

中でも、リックスを始めとしたノーザ側の設定や展開については、そのほとんどを伊東氏が手掛けていたと思われる。第1話では存在のみ明かされるリックスが、第4話で特殊部隊の存在を認知し、第7話でJ.Jと直接対決することで「ホワイトナッツ」「J.J」と名前を認識し、以後J.Jを付け狙うドラマは丁寧に段階を踏んでおり、また、リックスの立場もラスボス(1話〜)→中間管理職(7話〜)→ドラマから脱落(16話〜)→復帰して反逆者(26話~)→J.Jに看取られるように死亡(29話)、と主人公J.J以上に起伏に富んだ変遷をしており、大河ドラマ作者としての伊東氏の力量を感じる。伊東氏は当時「ジリオンスタッフのリックス」と呼ばれていたそうだが、「いい悪役には人生が必要」というポリシーを持つ氏だけに、異星人であるリックスにも挫折と復讐のドラマを求め、より良いライバルとして育て上げたのだろう。

アニメージュ1988年8月号「ビデオラボ」より
特撮秘宝vol.8「伊東恒久インタビュー」より

リックスは「J.Jが倒すことのできなかったライバル」となったが、この「決着をつけられなかったライバル」設定、また、「最初に自分にダメージを与えた相手をライバルと認識する」「本来の目的を放棄して、主人公だけに異常に執着する」あたりのキャラクター造形は、伊東氏も脚本で参加していたアニメ『あしたのジョー』(1970年)の力石徹を思い出させ、また、リックスの一時退場後にホワイトナッツのライバルチームとして登場(23話)したノーザウォーリアーズも、氏がシリーズ構成を担った『蒼き流星SPTレイズナー』(1986年)(こちら)に登場する「死鬼隊」を彷彿とさせる。ジリオンが準備期間ほぼゼロの突貫企画であった(こちら)割に、しっかりした作品構造を持ち得たのも、この伊東氏のキャリアあってのものだった。

ドラマへのこだわりが強い伊東氏の脚本は、アンチ・ドラマ志向の西久保監督によってソフィスティケイトされ、ジリオン特有の「さりげないメッセージ性」となって結実した。伊東氏自らが構成したビデオ「総集編1」、逆に伊東氏がノータッチとなったOVA「歌姫夜曲」、それぞれに感じる若干の物足りなさは、TVシリーズにはあった、その「脚本と演出のせめぎ合い」が足りなかったから、とも思える。
氏は「すべてが作りごとのアニメだからこそ、現実の問題を描く力がある」と信じ、作品にはそれを常に込めていた。ジリオンの最終回は、伊東氏が幾多の作品で追い続けたファーストコンタクトテーマの一つの結論であったのだろう。

アニメージュ1988年8月号「ビデオラボ」より
OUT1986年10月号より
特撮秘宝vol.8「伊東恒久インタビュー」より

ジリオン前夜の伊東氏は作家が主張を発言できなくなる世の中を危惧し、晩年は、その通りになってしまった現実を憂いていた。(上記OUTのインタビューが1986年、特撮秘宝のインタビューが2018年)
氏は『おらぁグズラだど』『マッハGoGoGo』『キャプテン・ウルトラ』(すべて1967年)といったアニメ、特撮の黎明期にデビューし、『巨人の星』(1968年)、『レインボーマン』(1972年)などの大ヒット作を手掛け、後年のレイズナージリオン、『ガンダムF-91』(1991年)まで、ギャグ、人情、アクション、スポ根、SFに至るまで、あらゆるジャンルで活躍した才人だった。
子供番組といっても手を抜かず、ジリオンにも確固とした「物語の芯」を込めた伊東恒久氏に、改めて感謝と追悼の意を捧げたい。

次回は前回の予定通り、制作プロデューサー石川光久氏と、石川氏と後藤隆幸氏の設立したプロダクションI.Gについて。

幻のキャラ、バード少尉

今回は記事の前に軽く宣伝をさせていただきたい。Twitterジリオンファンの皆様と一緒に作っていた「ジリオンかるた」が完成し、自家通販またはBOOTHにて頒布中です。
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では本編。
赤い光弾ジリオン」第15話に名前だけが登場した「バード少尉」は、その後16話でも言及され、視聴者に強い印象を残した。基本的に一話完結エピソードで構成されるジリオンでは、セシルやアディ、パトロール兵などごく一部のキャラを除いてレギュラー以外のキャラクターが会話レベルでも再登場することはほぼなく、その中で(15〜17話が数少ない連続エピソードとはいえ)名前だけが連続して登場したバード少尉は特異なキャラクターといえる。

バード少尉が作中初めて言及された15話では、主人公J.Jがホワイトナッツメンバーとなったのはコンピュータミスだった、という衝撃的なストーリーが展開される。そこで本来なら選ばれるはずだった人物がバード少尉で、「士官学校を主席で卒業したエリートであり、参謀本部戦略部所属、スポーツ万能で射撃の腕は部内イチ、凄みのあるハンサムだが男にも好かれる好男子」である、と作中最大級の人物評が行われている。実力はともかくムラが多くハンサムとは言いがたい描写がされがちなJ.Jはもちろん、同じ二枚目のチャンプと比べても学歴や性格面でアドバンテージがあり、いわゆる完璧超人として、そのキャラクターはかなり立っている。
となると実際どんなルックスなのか…と期待が膨らむのが人情だが、結果的には、バード少尉が画面に登場することは一切なかった。
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アニメディア1988年2月号ふろく「ジリオン SPECIAL COLLECTION」より

また、本編以外の登場の可能性としては、第17話の予告としてバードが登場し、ウソ予告を繰り広げる案まであったようだ。
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アニメディア1988年2月号ふろく「ジリオン SPECIAL COLLECTION」より

ちなみにジリオンの本放送時には第16話ラストの次回予告は翌週からの傑作選の予告であり、17話の予告が入るのは傑作選のラストなのだが、そうなるとこの予告を見る人は少なくなり、せっかくの仕掛けも日の目を見ない可能性が高い。そのあたりも、このウソ予告が採用されなかった理由の一つかも知れない。この予告でバード少尉の声や性格を知ることができたかも知れないと考えると、それはそれで見てみたかった気もする。
声に関しても、凄みのあるハンサムでエリート、と聞くといわゆるロボアニメの美形ライバル系を想像してしまうが、『機動戦士ガンダム』(1979年)でシャアを演じた池田秀一氏は、ジリオン第20話「失恋パワーでけちらせ」のゲスト、マックス少佐役で出演している。
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赤い光弾ジリオン』第20話よりマックス・シード少佐

このマックス少佐は「凄みのあるハンサム」でさえないものの、十分にイケメンであり、若くして少佐にまで上り詰めたにも関わらず現場で部下の人望も厚く…と、バード少尉のキャラのリサイクルかと思わせるような類似性を持っている。バードがマックスのような柔らかな印象のキャラであったら、意外にすぐホワイトナッツに馴染んでしまった可能性すらある。

バード少尉の生みの親、第15話、16話で脚本を手掛けた山崎晴哉氏(こちら)はアニメディアのムックで、バード少尉のドラマを書きたかったが入らなかったので、機会があれば小説などの形で発表したい、と書かれていた。
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別冊アニメディア赤い光弾ジリオン完璧版」より

その機会は結局来ないまま山崎氏は鬼籍に入られてしまったが、脚本レベルではバード少尉にはもっとたくさんのエピソードが構想されていたようだ。「戦死してしまう」とも書かれているので、15話のニックの死、または16話のJ.J失踪のエピソードは、元々バード少尉を念頭に書かれていたのかも知れない。

と、ここまでバード少尉が本編に登場した可能性について考察したが、しかし実際にセリフ一つ、1カットたりとも本編に登場しなかったことについては、意図的なものがあったのかもしれない。
「丸輪零」名義で第15話の絵コンテを手掛けた押井守氏(こちら)は、「主題の不在」というテーマを何度も追求しており、その最たるものが氏の代表作の一つである『機動警察パトレイバー THE MOVIE』(1989年)となるだろう。
この作品で押井氏は事件の犯人を映画冒頭で映画から退場させ、その後に事件をスタートさせている。犯人を捕えて〆となるべき警察ドラマにおいて、だ。
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機動警察パトレイバー THE MOVIE』より

押井氏は「登場させないことでキャラクターや観客に逆に強く意識させる」ことを、第15話においても意図していたのかもしれない。15話の放映と同時期の押井監督のOVA『迷宮物件FILE538』(1987年)では、主人公の影となる前任者は画面に断片的にしか登場せず、また最後まで主人公と対話することはなかった。ジリオン放映に先立って公開された実写作品『紅い眼鏡』(1987年)でも、そのラストシーンでは顔を完全に覆った装甲服がその持ち主である主人公と対峙しており、押井氏にとって自らの「影」とは、ある意味で不可視な存在なのかもしれない。
J.J復活編たるジリオン17話の放映に数日だけ先駆けて発売された『迷宮物件』のラストでは、それまで積み上げた不条理劇をいきなり無効化させるメタな自己言及がなされる。「そんなやつはそもそも存在しないのだ。だってコレ、フィクションだし」とでも言うように。とすると、バード少尉に惑わされたわれわれ視聴者も、同じ1987年の夏に、まんまと押井氏の術中に落ちていたのかもしれない。

次回は、ジリオンの制作プロデューサー石川光久氏について。