後藤隆幸氏のジリオンコミック
『MIX NOISE 後藤隆幸作品集』表紙
『赤い光弾ジリオン』のTV放映に合わせたコミカライズは講談社「コミックボンボン」と「スーパーボンボン」を舞台に行われた(こちら)が、それとは別に、アニメの人気によって生まれたコミックもTV放映終了前後から登場している。
まずは、LPやCDで発売された『お洒落倶楽部』のジャケットにあしらわれたショートコミック。
CD『お洒落倶楽部』インナーより
キングレコードが出資して制作された『歌姫夜曲』の特典に後藤氏のコミックをつけることになったのは、この『お洒落倶楽部』での好評があったのだろうか。
こちらも作者はうえだ氏と同様TVシリーズの絵コンテで活躍した貞光紳也氏、そして作画が後藤氏となる。
VHS版『赤い光弾ジリオン 歌姫夜曲』封入特典より(一部)
このコミックには扉絵が複数あるが、どういった区分けによるのかは不明。
SHOOT!2のほうには「BURNING NIGHT SPECIAL COMICS」とあるが、では1のほうはもしかすると何らか別の媒体で発表されたものの再録なのかもしれない。初出情報などはもちろんないため、もし知っている方がいたらぜひご教示いただきたい。
ちなみに2019年現在、このコミックを単体で入手することは難しい。歌姫夜曲のビデオ自体は比較的容易にオークション市場で手に入るので、レンタルではなく個人のコレクションの出品であれば、この冊子がつくか出品者に確認するのが確実だろう。
『MIX NOISE 後藤隆幸作品集』より
こちらはジリオンファンには比較的知られていると思われる、後藤隆幸氏の作品集『MIX NOISE』。ムービックによる自主刊行物として設定資料などと同じくアニメイトでのみ販売され、一般の書籍流通では販売されていない。
ジリオンのコミックは作品集の半ば以上を占める。シリアスな外伝ストーリー「SAN-NIN」と、3等身キャラで描かれるギャグ「死霊のリックス 砂のしたたり」の二本と、後藤氏が過去作やジリオンを振り返るコミックエッセイが収録されており、現在から30年前の制作当時を確認できる貴重な資料ともなっている。
『MIX NOISE 後藤隆幸作品集』より
SAN-NINは明確にホワイトナッツの三角関係を描いた異色作。恋愛ものを好む後藤氏らしい作風だが、後藤氏がジリオン当時手がけていた『きまぐれオレンジロード』(1987)や、この作品集の同年に公開された映画『めぞん一刻 完結篇』(1988)の影響も感じる。
劇場版めぞんについて描かれた「こまったユ鬼ちゃん」
『後藤隆幸画集 Gの旋律』より
もう一本の、ホラーネタのギャグマンガ「死霊のリックス」は上記歌姫の4コマ漫画を彷彿とさせる楽しい作品。こちらもストーリーは貞光氏だろうか(MIX NOISE巻末には、コミックのコンセプト協力として貞光氏の名前が見える)。
『MIX NOISE 後藤隆幸作品集』より
次回は、ジリオンのプロデューサー陣についてを予定。