ZILLION ARCHIVE ROOM(Yahooブログ移行版)

Yahooブログから流れてきたTVアニメ『赤い光弾ジリオン』非公式ファンサイトです。元々は放映30周年を記念する週刊ブログでしたがそのまま不定期で続いています。

アメコミになったジリオン

現在「RED PHOTON ZILLION」として定着している『赤い光弾ジリオン』の英語表記は、当初「SPARK SHOT ZILLION」だったように記憶している。アメリカ市場で最初にホワイトナッツが登場したのは映像作品ではなく、セガが当時販売していたゲーム機Master System(のちに発売された日本版マスターシステムとは仕様が微妙に異なる)用に発売されたゲームソフトだった。

海外版ジリオンゲームプレイ動画
 
ソフトの発売は1987年の年末。翌年には続編『トライフォーメーション』も登場したが、原作となるアニメがない状態でプレイしたアメリカのファンはどんな気持ちだったのだろう。
 
その後1990年になって、宮崎駿作品やマッドハウスの劇場大作などの日本のアニメを販売するStreamline社から、突如として吹替版ビデオが発売された。マイケル&ジャネット・ジャクソンが「SCREAM」のPVで使った映像もここからの引用のようだ。
 
そしてまたこちらも唐突に、Eternity社によってアメコミとしての展開も行われた。推測するに、Streamline社のビデオで大きなヒットを飛ばし、Eternity社のコミックでもドル箱シリーズとなったRobotech(マクロスやサザンクロス、モスピーダなどをクロスオーバーさせた米国独自のコンテンツ)の版権元がタツノコプロだったため、モスピーダと設定やメカの共通点が多いジリオンに白羽の矢が立ったのだろうか。
 
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アメコミ版ジリオン1巻〜4巻の表紙
 
このアメコミ版第1巻の発売は1993年。当時は現在のようにネットも普及しておらず、日本でのジリオンの商品展開が完全に止まっていたこともあり、ファンでもこのアメコミの存在を知る人は少ないのではないだろうか。第1巻の冒頭、およびラストシーンを軽く紹介する。
 
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アメコミ版ジリオン第1巻より
 
ストーリーはアニメの第1話『コードネームはJ.J』をかなり忠実に、かつコンパクトに再現したもので、ちゃんとアディも登場する。アニメでのJ.J初登場シーンが自転車なのは、彼が「メカではなく体を動かす主人公」であることを表す演出だったはずだが、このコミック版はあっさりとバイクで登場しているあたりの違いも面白い。
ちなみにこの詰め込みすぎの1巻の反省からか、次のアニメ版第2話は2巻、3巻に分割されている。
この1巻〜3巻の絵は取り立てて上手いとは言えないが、「アメコミ」と聞いて想像されるようなコッテリした絵柄、デフォルメは抑制されており、80年代アニメテイストが感じられる。これはDC、Marvelといった大手ではなく、「日本アニメのアメコミ化」というニッチなジャンルを手掛ける出版社ならではの差別化戦略でもあったのだろう。
それが成功したかは定かでないが、第4巻ではライター(コミックの脚本)、アーティスト(コミックの作画)ともに入れ替わり、ここでジリオンのコミックシリーズ展開は終わっている。同社の展開していたキャプテンハーロック著作権問題などもあり、1994年にはEternity社自体もコミック出版から撤退したようだ。
 
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アメコミ版ジリオン第4巻より
 
ストーリーはアニメ版第3話『チャンスは0.1秒!』をベースにしたもの。続きはビデオを観てね!という豪快な打ち切りエンド。
 
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アメコミ版ジリオン第4巻より
 
4巻オマケのオリジナル短編。アメコミでは当然だが、また別のライター、アーティストが手がけている。なぜかエイミがアタックチームの訓練を受ける話。
 
60巻以上かかるペースで始まった割りに、結果的には4巻という短命に終わったアメコミシリーズだが、このコミック自体は2017年現在でも比較的容易に入手できる。ネット上では中古コミックを扱うサイトが多くあり、筆者もこれをオーストラリアのコミック通販サイトで入手した。価格も比較的安く(一冊1$〜6$程度)、筆者の場合4冊セットを送料込2000円程度で収まった。
興味がある方はオークションを利用するなどして輸入にチャレンジしてみてはいかがだろうか。
 
オークションサイトeBay(オーストラリア版)で「comic+zillion」の検索結果
 
次回は、祝・放映開始30周年!ということで拡大版。非常にタイトだったというジリオン放映開始までのスケジュールと、キャラコンペに参加したデザイナーT氏の謎について。