テレビえほん『赤い光弾ジリオン』と、セイカのぬりえ
タツノコプロと読売広告社はその処女作『宇宙エース』(1965年)以来の関係だが、その初期作品に名作、メルヘン路線があったせいか、商品展開には子供向けの絵本がラインナップされていた。かなり高年齢層向けの作品だった『未来警察ウラシマン』(1983年)などでもこのアニメ絵本は発売されており、ジリオンでもなかばルーチン的にアニメ絵本が発売されている。
ちなみに、絵本のタイトルには(1)と表記されているが、2巻以降が発売された形跡はない。
テレビえほん『赤い光弾ジリオン』より
典型的な食いしん坊キャラにされてしまったデイブが切ない
テレビえほん『赤い光弾ジリオン』より
瞳のあるリックスがなかなか新鮮
内容的にはこのタイプの絵本の共通フォーマットともいえるキャラクター紹介と主題歌がメインで、内容紹介はダイジェスト的なものとなっている。
これは同時期に登場したセイカのぬりえや、のちのアメコミ版にも共通するが、なぜかニュージリオンであってもコードが繋がった形でイラストが描かれている。現在でもまれに同様のファンアートを見かけるので、思った以上にあのコードは作品にとって印象的な小道具だったようだ。
テレビえほん『赤い光弾ジリオン』より
J.Jがホワイトナッツのリーダーと紹介されているが、初期設定ではそうだったのだろうか
絵本のイラストは設定資料そのままのものあるが、基本的には本編や版権イラストを元に新たに描き起こされている。クレジットには『機甲創世記モスピーダ』(1983年)や、「ガルフォース」「バブルガムクライシス」等のシリーズで知られるアートミックの名前も見え、アニメ絵本独自の製作体制に乗ったもののようだ。
テレビえほん『赤い光弾ジリオン』背表紙
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タツノコはジリオンの後期と並行して『おらぁグズラだど』のリメイク(1987年)を手掛けているが、その後しばらくTV媒体から姿を消す。久々の新作となった1989年の『天空戦記シュラト』ではパートナーとなる広告代理店が読広から創通へと変わり、以降の作品では絵本は発売されていない。
次回は、息抜き編のその2。ジリオンぽいものが登場するマンガ、CD編。