ジリオンのタイトル変遷と第2話のセル画
ニュータイプ1987年5月号より。セル原画は井口忠一氏
既出(こちら)の通り、『赤い光弾ジリオン』の企画タイトルは『シューティングファイター ジリオン』だった。タイトルに「赤い光弾」が入ったのは4月の放送の直前、2月~3月頃の土壇場だったようで、放送開始前の各アニメ誌には情報の混乱が見られる。
『赤い光弾ジリオン』プルーレイBOX付属ブックレットより
原作玩具『超高速光線銃ジリオン』:1986年8月ごろ?
企画タイトル『シューティングファイタージリオン』:1986年11~12月ごろ
アニメディア3月号『シューティングハンタージリオン』:1987年2月10日発売
アニメージュ3月号『ジリオン(仮)』:1987年2月10日発売
ニュータイプ3月号『シューティングファイタージリオン(仮題)』:1987年2月10日発売
正式タイトル『赤い光弾ジリオン』:1987年4月12日放映開始
※月刊OUTは放映前の新番組情報なし
ニュータイプ1987年4月号より
ニュータイプ1987年5月号より
プルーレイ付属ブックレットにもその名前が登場するラスボス「バルグⅢ世」はノーザの総司令官だろうか?実際の放映ではラスト2話でようやく宇宙に出たことを考えると、ノーザの母星など、それ以上に舞台を広げるのは話数的に無理だったろう。ラスト2話にしても、宇宙が舞台とはいえ放映初期の日食ネタなどで言及され、画面にいつも登場していたリル(惑星マリスの衛星)だからこそ視聴者の違和感は最小限に留められたと思われるので、やはりあのラストで正解なのだろう。
ここからは、またセル画を紹介したい。
第2話のセル画
こちらは第2話から、暗闇を疾走するライディングセプターに立ち上がってジリオンを構えるJ.Jのカット。ツイッターのフォロワーの方と、なんと第2話作画監督の浜崎博嗣氏から直々にご教示いただいた。お二人に感謝したい。
赤い光弾ジリオン第2話『頭上の敵をうて!』より、上記のセル画が使われたカット
この第2話で絵コンテを手がけた押井守氏は2年後の『機動警察パトレイバー THE MOVIE』(1989年)でもやはり真っ暗なトンネルの中をレイバーに疾走させているので、よほどお気に入りのシチュエーション(それともスケジュール対策の奥の手か)であるらしい。
浜崎氏と組んだ際の押井氏はその仕上がりにかなり満足したようで、後年こんなコメントを残している。
梶山寿子著『雑草魂~石川光久 アニメビジネスを変えた男~』より。