ジリオンのイベントとラジオ放送
2015年のトークショーでオーダーの特典として作られたポストカードの一部
アニメのライブイベントが日常化した現在と異なり、昭和のアニメであるジリオンはその人気の割にイベントはほとんど行われていない。その数少ない例外が1988年5月に行われた『歌姫夜曲』発売ライブとなる。元々はキングレコード主催のホワイナッツライブとしてアナウンスされていたが、のちに歌姫夜曲の関連イベントとして再告知されている。
アニメージュ1988年6月号より
アニメディア1988年6月号より
イベントの舞台となったのは渋谷ライブイン。出演はホワイトナッツ役の3人に、ジリオンといえばこの人、結城梨沙氏に西村智博(現 朋紘)氏を加えた5人に本多知恵子さんが飛び入りで参加、ゲストトークで西久保監督他スタッフも登場したらしい。
このライブは結果的に、ジリオン唯一の音楽ライブとなった。1988年のアニメグランプリなどで主題歌やキャラソンなどの披露はあったものの、次に行われた作品単体イベントは実に27年後の2015年10月、ブルーレイBOX発売に関連して行われたスタッフトークショーとなる。
アニメV別冊『赤い光弾ジリオン 歌姫夜曲』より
トークショーの舞台となったのは、現在のトークイベントブームの草分けである阿佐ヶ谷ロフト。出演は西久保監督にTV版プランニングコーディネーター/OVA版プロデューサーの植田もとき氏、そして作画からは後藤氏、浜崎氏、黄瀬氏という豪華な顔合わせとなった。
このトークショーはブルーレイのコメンタリー同様、映像を観ながら当時を振り返る趣向だったそうだが、やはりコメンタリー同様にスタッフの記憶が怪しくなっており、酒の力もあって、コメントの正確さは甚だ怪しいものだったそうだ。しかし40代がほとんどだったという観客は大いに楽しんだようで、なんでも、客席には当時のスタッフも多数混じっていたらしい。
イベントとは違うが、かつてジリオンを特集したラジオ特番があった。RAB青森放送「アニメファン倶楽部」での『赤い光弾ジリオン』特集ラジオスペシャルがそれで、以下の記事からは関、水谷、本多、速水の各氏の姿が見えるが、井上氏が出演したかどうかは確認できなかった。この番組は1988年の9月に収録されているので、キャストの各氏にとってはジリオン関係の仕事としては最後期にあたる。
ニュータイプ1988年11月号より
ちなみにこの放送と関係するかは不明だが、水谷優子さんはラジオ番組で挿入歌を披露するも歌詞をど忘れしてしまい、しかもその失敗バージョンのままオンエアされてしまったエピソードをDVD-BOXの座談会で語っている。
『赤い光弾ジリオン』DVD-BOX1ライナーノート「ホワイトナッツ同窓会」より
また、音声メディアとしては近年見かけなくなったテレホンサービスもあった。
これはTV本放送中のサービスで、特定の電話番号に掛けるとキャストの声で番組情報が教えてもらえるというもの。もちろん、これまでCDなど他のメディアに収録されたことはない。内容は月に2回更新されたようなので、4月〜12月と考えると全18回だろうか。現在これを聴くことはほぼ不可能と思われるので、当時聴いた人は非常に貴重な体験をしたといえるだろう。
次回は、キングレコードから発売され、一部は現役で流通している音楽ソフトについて。