キングレコードの音楽ソフトあれこれ
『赤い光弾ジリオン』の全シングル
ジャケットイラストはすべて後藤隆幸氏
ジリオンの放映当時はまだCDプレイヤーが一般家庭に普及しておらず、当初リリースされたメディアはレコードおよびカセットテープだった。
『赤い光弾ジリオン 音楽集』より
まずは番組開始と前後して、主題歌を収録したシングルが発売された。突然出てきたオリジナルの新番組として注目度は低かったジリオンだけに、広告では作品以上に将来有望な新人歌手、結城梨沙さん推しとなっている。
アニメージュ1987年5月号より
人気の出なかった作品ではここで音楽ソフトの展開が終了することもあるが、作品の人気上昇に伴い、ジリオンでは多彩な展開が行われた。
『赤い光弾ジリオン WHITE NUTS』より
ジャケットイラストは浜崎博嗣氏
このキャラソンの作曲には、のちに押井守監督とのコンビで名を馳せることになる川井憲次氏が参加しており、無名時代の川井氏がアニメ作品に関わるきっかけともなった。また、川井氏作曲の「ラブソングはうまくない」「Catch me!」の作詞は第5話「アップル命令違反!?」や第17話「涙!J.Jをさがせ」の脚本家 渡辺麻実氏が手がけており、ミニドラマ脚本の関島真頼氏とともに、ジリオンの若手脚本家の活躍が目立つアルバムとなっている。
『ZILLION LET IT ROCK!』より
イラストは引き続き浜崎博嗣氏
3枚目のこのあたりになると、かなり苦肉の策という感じも滲む。本作はなんと作中BGMのボーカルアレンジ集で、詞のイメージは本編と大きく異なる。しかし、この浜崎博嗣氏の手になるジャケットも含め、のちの『歌姫夜曲』のイメージがすでに顔を見せているのは面白い。J.Jがギター、チャンプがベース、アップルがボーカル、デイブがなかば当然のようにドラム、エイミがキーボード、という構成も歌姫そのままで、歌姫夜曲という企画自体がこのジャケットから発想されたのかもしれない。
また、このアルバムに収録された「ノーモア・ノーマル」は激闘編の新EDとなった「ROCK CANDY」とともシングルカットもされている。
『赤い光弾ジリオン お洒落倶楽部』より
イラストは後藤隆幸氏
4枚目、お洒落倶楽部ともなると、もう音楽関係のストックは尽きたとみえて、ドラマをメインにキャラソンを交える構成で収録されている。
このアルバムでドラマ部分のシナリオを書いた関島真頼氏は楽屋落ちネタも豊富に突っ込んだ本作でジリオンは終了と思っていたようで、この最後っ屁ともいえるハチャメチャさ加減がまた、ジリオンの人気に拍車をかけることとなった。
アニメージュ1988年1月号より
『赤い光弾ジリオン あぶないMUSIC』
イラストは浜崎博嗣氏
歌姫ではラストアルバムとなった『あぶないMUSIC』と、シングルカットされた「嘆きのKIDS」&「さよならの街角」が発売された。
ここで紹介したCDアルバムは再発売盤が2017年現在でも市場で流通しており、amazon等の通販で簡単に入手できる。特に、印象的なテーマが詰まった『音楽集』、激闘編以降のノリが暴走した『お洒落倶楽部』は、放送当時レコードが買えなかったファンにも是非聴いていただきたい逸品だ。
次回は、ホワイトナッツの特徴的なアイパッチディスプレイと非対称プロテクターの源流さがし。