放映33周年!ジリオンの天丼ギャグ
ムービックから発売されたカセットレーベル
33年前の今日、4月12日(日)にTV放映が開始された『赤い光弾ジリオン』は、基本的には一話完結方式でストーリーが構成されている。毎回のパターンとして「ノーザがアクションを起こす→ホワイナッツに出動命令→ビッグポーター発進バンク→現地で戦闘→解決」という展開が踏襲されるが、その他にも細かい作劇パターンがいくつか見られる。
「J.Jがゲストの女性キャラと知り合って事件が起きる」という、ジリオンとほぼ同時にスタートした『シティーハンター』(1987年)のようなパターンもあるが、今回は特にその初期において顕著な「作中人物が口に出すとすぐその展開になる」というパターンについて検証してみたい。これはシリーズ中で何度も繰り返されるので、一種の「天丼ギャグ」と考えてもいいと思われる。
まずは第1話。
J.Jがアディを安心させようと「このソーラーシステムは滅多なことじゃ壊れないんだからさ」のセリフが言い終わらないうちにソーラーシステムに穴が開く。
第2話。
職員らしき男性が「ノーザが湧いて出るわけじゃあるまいし…」といった直後に雲霞のようなノーザ軍に襲われる。
第3話。
兵士たちが「援軍は来るんでしょうか?」(中略)「もうすぐ!」と会話した直後に援軍が来る(が、直後に巨大砲で全滅)
第5話。
大臣が「ヤシマ研究所ある限り、ノーザおそるるに足らん、といったところかな?」といった直後にノーザのミサイルが直撃。
第6話。
バーンスタイン長官が「まんまと我々の陽動作戦に引っかかってくれたわけだ」と破顔した直後に西部戦線が破られる。
飛んで第8話。
セントビジリア島で熟女たちから逃げ出したJ.Jが「もっと若い女の子はいないもんかねぇ?」といった直後にメルゥを見つけて「いたぁ〜♡」
しばらく飛んで第12話。
J.Jが「なーんだ、俺たちはもう海の牙に狙われてなかったんだ。アッハッハッハ」といった途端に爆雷攻撃を受ける。
第13話。
開幕早々、戦闘機パイロットが「しかし、こんなところにノーザ軍がいるとは思えんが…ん?なんだあれは!?」でミサイルの直撃を受ける。
第14話。
セシルを追って転属願いをするJ.Jが「頭を冷やしなさい!」と水をぶっかけられた直後にセシル救出依頼の電話がかかってくる。
第15話。
パトロール兵が「シャケじゃあるまいし、ノーザがこの運河を遡って来るってか?冗談じゃ…」といった直後に運河からノーザのメカが出現。
第16話。
大要塞のリックスが「出て来いJ.J、早く姿を現わせ!」といった直後に「ホワイトナッツ、接近!」
第18話。
ミンミンにお弁当を作ってもらったJ.Jが「もう死んでもいい!」とバクバク食べるが、直後に喉をつまらせ「死ぬかと思った…」
第19話。
アップルと遺跡に隠れたJ.Jが「次もあっと言うようなところから出てくるかもしれないぜ」といった直後にノーザが壁から出現し、「あっ!?」
第20話。
浄水システムに潜入したエイミが「元・泣く子も黙るホワイトナッツ秘書官エイミ・ハリソン、ノーザなんかに…」と言い終わる前にノーザが目の前に現れる。
第22話。
J.Jとアディが「あっ!チャンプとアップル!」といった(2回目)直後に二人がライディングセプターで乱入。
第24話。
オパオパにJ.Jの行方を訊かれたエイミが「女の子の悲鳴のするトコでしょ!」からの「キャーッ!」
第25話。
アップルから「男の子は泣かないものだぞ!」と諭されたジョニーが泣いてしまう。
第26話。
警備を放ったらかしてノーザを迎撃しようとしたJ.JにMr.ゴードが「敵はもう中に入り込んでいるかもしれないんだぞ!」と説いたが、すでにガードックが潜入していた。
第31話。
1) ノーザの触手に捕らわれたJ.Jが意識が遠のきながら「アップル…チャンプ…」と呟くと2人が救出に現れる。
2) J.Jがチャンプのセリフを受けて「オレたち自身の戦い…か」といった直後に2人でいがみ合いを始める。
この定番ギャグは展開がシリアスになっていくラスト近くには(最終回を除いて)登場しなくなっているが、ジリオンの持つアップテンポで軽快なイメージは、こういった「徹底した展開の早さ」にも支えられているのだろう。これも、一種ドライなキャラクターたちの軽妙な掛け合いや、伸びやかなサウンドとも合わせ、予算のない中で新しいものを貪欲に求めた当時のスタッフのチャレンジ精神の賜物だったのではないだろうか。
次回は、激闘編になって変更されたオープニング映像を検証予定。