月刊OUTに見るアップルと『ダイの大冒険』のマァムのミッシングリンク
OUT1988年2月号より
『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』は週刊少年ジャンプで連載された人気マンガ。
この作品に登場するヒロインの一人、マァムは「アップルが元ネタでは?」とネットで度々指摘されている。
確かに初期マァムのルックスはアップルによく似ている(ナウシカにも似ている)。当時のファンタジーものには異色な「銃」使いであり、その特徴的な胸開きコスチュームもあって、主人公の一人ポップのラッキースケベ展開なども、ジリオン第1話でJ.Jがアップルの胸に顔を埋めたシーンを彷彿させる。
設定や性格面でも類似が多い。
他の2人の主人公ともども「選ばれた者」であること、ヒロインながら戦闘能力が高く、母性的な優しさと判断力・行動力を備えるが、意外と怒りっぽく激情的であること…等々。
マァムの初登場は少年ジャンプ1990年第5号。この通称「ダイ大」の連載は前年1989年に始まっており、同年はレーザーディスク最終巻の発売をもってジリオンの商品展開が終了した年でもある。原作者はジャンプでは新人の三条陸氏、作画はこちらも新人の稲田浩司氏。
マァム初登場のシーン(週刊少年ジャンプ1990年第5号)
放映前はダークホース的存在だったジリオンの人気にOUTが着目したのは比較的遅く、特集記事が組まれたのは1987年の11月号、そして本放送終了直前の1988年1月号だった。
OUT1988年1月号より
この記事を担当したのが須田留貧=三条陸氏。これを見る限り、三条氏がジリオンを知らずにアップルに似てしまった、ということはなさそうだ。年代的にも近く、まだジリオンを覚えている読者に「アップルみたいなキャラだ!」と印象されたのも無理からぬことだったろう。
三条氏はアニメ化もされた「ダイ大」のヒットの後、売れっ子脚本家となり、マンガ原作のみならず特撮やアニメ番組、映画などにも活躍の場を広げている。三条氏のその後の参加作品からジリオンの影響を探してみるのも面白いかもしれない。