大番狂わせ!1988年のアニメグランプリと日本アニメ大賞
「後藤隆幸作品集 MIX-NOISE」より
アニメ『赤い光弾ジリオン』は2017年現在では「知る人ぞ知る」といった存在だが、1987年末の放映末期から放映終了にかけてはアニメファンの間で人気が沸騰、当代の人気番組となっていた。キャラクターグッズを出していたムービック(アニメイト)ではジリオンの商品点数がムービックにおける過去最高を記録、その高い支持が伺える。
そのファンのムーブメントが最高潮に達したのが放映終了から間も無い時期に投票が行われた、アニメ雑誌アニメージュ主催の「アニメグランプリ」と、アニメージュ以外のアニメ雑誌が合同で開催していた「日本アニメ大賞」だった。
作品賞 : 『聖闘士星矢』に次ぐ2位
男性キャラクター賞 : J.Jが冴羽獠を抑えて1位
エピソード賞 : 「勝利のラストシュート!」が2位
女性アーティスト賞 : 結城梨沙さんが1位
アニメディア1988年6月号より。武田一也氏が珍しくTV版のキャラを描いている
日本アニメ大賞は審査員が決定する各部門賞の他、アニメグランプリ同様にファンからの投票で決まるファン大賞部門があった。すでにアニメグランプリを主催していたアニメージュを除く、アニメディア(学研)、ニュータイプ(角川書店)、OUT(みのり書房)の読者による投票であり、特に本作を強く推していたアニメディアの参加によって、アニメグランプリより更にジリオンの強さが際立つ結果となった。ジリオンが日本アニメ大賞のファン大賞部門で獲得した主な部門賞は以下の通り。
作品賞 : 1位
男性キャラクター賞 : J.J
女性キャラクター賞 : アップル
アニメディア1988年6月号より
まったくのノーマークからのスタートながら、アニメファンの圧倒的な支持を受けたジリオンは、後藤隆幸氏を人気アニメーターに押し上げ、セガやプロダクションI.Gと押井守監督、キングレコードなどにとっての転機ともなった。
瞬間風速でこれほどの人気を叩き出したにもかかわらず、ジリオンには歌姫以降の展開がほとんどない。スッキリと終わった作品に相応しい潔い幕切れともいえるが、当時のスタッフの仕掛けた「あらゆる(無数の=zillion)可能性」はいまもファンの心に強く印象を残している。
アニメージュ1988年6月号より
次回は、監督クラスの大物がゾロゾロと参加した各話の演出家陣について。