アニメ雑誌の表紙を飾ったジリオン
今回はその表紙イラストをご紹介。
原画は後藤隆幸氏。なんとなく、宮崎駿監督がかつて手がけたTVアニメ『未来少年コナン』(1978年)を彷彿させる構図でもある。当時のサーフファッションを偲ばせるアクティブなJ.J、露出度の高い水着ながら印象は爽やかなアップルともに、後藤氏の持ち味が発揮された一枚といえる。
こちらはのちに『人狼』『ももへの手紙』を手がける沖浦啓之氏が原画。オープニングを共に手がけた なかむらたかし氏譲りの、面長なアップルやJ.Jが特徴だろうか。のちの精密機械とも呼ばれる作画と異なる、ややマンガチックな初期沖浦タッチが拝める貴重なイラストかもしれない。
アクションもののヒーロー然とした、キリッとしたJ.Jが珍しい。原画は黄瀬和哉氏で、DVDやブルーレイのBOXアートでも見せた、キャラの印象を変えずに影のつけ方などでリアルに寄せる独特の作画が印象的。
OUT1988年1月号表紙(まんだらけ より引用)
月刊OUTはパロディと読者投稿が特徴的な、アニメ誌としては特殊な雑誌だった。そのOUTの初表紙は、ちょっと野暮ったいアップル。クレジットはタツノコプロとなっており、誰が原画を手がけたかは不明となっている。戸部敦夫氏にも見えるが…。
半年ほど飛んで歌姫夜曲版、少々クドいアップルとリックス。原画は武田一也氏。後藤氏、数井浩子氏とならぶスタジオ鐘夢の主力メンバーであり、歌姫夜曲の作画監督もつとめた。歌姫の作監には黄瀬氏も名を連ねているが、これは武田氏のヘルプとしての参加だそうだ。
アニメV1988年7月号表紙
アニメVはアニメディアの姉妹誌で、ビデオアニメの専門誌だった。こちらも歌姫夜曲版のアップルが表紙だが、やはり若干の違和感を覚える。その代わりではないが、ちびキャラとして描かれたホワイトナッツメンバーが楽しい。原画は歌姫もう一人の作画監督である黄瀬氏。
OUT1988年8月号表紙(まんだらけ より引用)
誰?と言いたくなってしまうが、どうもこのキャラも歌姫版アップルのようだ。当時のOUTは常連投稿者をイラストレーターとして起用する方針を取っており、このアップルも岡本章氏が手がけている。キャラが違いすぎる上に、服装がウェディングドレスで、銃もジリオンではないなど、当時でもこの表紙がジリオンだと気づかなかった読者は多かったのではないだろうか。
当時発行されていた他のアニメ誌、アニメージュとニュータイプではジリオンが表紙を飾ることはなかった。この二誌がのちのボーグマンを早くから表紙に登場させているのは、ラスト近くで急遽盛り上がったジリオン人気に乗り遅れた反省もあったのかもしれない。
最後にオマケを。
次回は、ネットの噂『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』のマァムはアップルが元ネタ?の検証。