水谷優子さんのアップル役への思い
あかほりさとる氏とのラジオ番組の終了、まる子の姉や美星、ミニーマウスなどの持ち役の交代、壮行会「あえてよかった」の開催などを経て、世間は水谷さんを失った痛手から徐々に回復しつつあるようだ。
女性自身2016年6月7日号より
そして射止めたアップル役は、水谷さんにとって新境地のキャラクターだった。オリジナル作品ならではの柔軟さでキャラクターも水谷さんの演技をフィードバックし、明るく知的だが激情型で、包容力と行動力を併せ持つ新しいヒロイン像を形作っていった。ある意味、アップルというキャラクターは西久保監督と水谷さんの子供のようなものだったのかもしれない。
アニメV別冊『赤い光弾ジリオン 歌姫夜曲』より西久保監督と水谷さんのツーショット
アップルは人気キャラとなり、1988年の日本アニメ大賞では女性キャラ部門のトップを獲得した。
その後、西久保監督はジリオンのスピンオフとなるOVA『歌姫夜曲』(1988年)、TV『天空戦記シュラト』(1989年)、映画『「エイジ」』(1990年)と立て続けに水谷さんをヒロインで起用し、水谷さんは西久保作品のミューズとなった。水谷優子さんが30歳を迎えた1994年11月にお二人は結婚。
(2022/05/18 日付を修正。ご指摘いただいたちゃおさん、ありがとうございました)
そんな経緯もあってか、平素から慎重に「特定の役への思い入れ」を語らないよう抑制していた水谷さんでも、アップル役について語る機会は多かったように思われる。亡くなられる半年前、2015年のブルーレイBOX発売に合わせて行われたトークショーにもコメントを寄せられたそうだ。
『軌跡―Production I.G 1988‐2002』より
DVD-BOX1付属ブックレット「ホワイトナッツ同窓会」より
『後藤隆幸画集 Gの旋律』より
水谷優子さん…今、知りました。
— 渡辺由美子 (@watanabe_yumiko) 2016年5月19日
とても明るくて、周りの方を楽しい空気に包んで下さるような方でした。
塩沢兼人さんの追悼特集の時に「私たちの仕事はフィルムとなってずっと残ります」というお話をいただきました。
ご冥福をお祈りいたします。
水谷さんは亡くなられたが、その言葉の通り、水谷さんが魂を吹き込んだキャラクターたちは、それを観る者がいる限り不滅なのだろう。
https://www.amazon.co.jp/dp/B011TOVXP6
※左下のPVで、水谷優子さんが27年ぶりにアップルを演じたブルーレイBOXのCMが観られる高校生の頃から声優を目指し、その人生をかけて声優としての仕事を全うした水谷優子さん。
アップルの魅力には、若き日の水谷さんの魂が込められている。改めて、そのプロ根性に敬意を表したい。
次回は、J.J失踪からの「空白の1ヶ月」と、再開後の「激闘篇」周辺事情について。