ゲームになったジリオンと、謎の組織トップドリーム
まずは、このブログでは珍しくリアルタイム情報のお知らせから。
『赤い光弾ジリオン』の30周年を記念した同人誌の企画が現在(2017年7月現在)進んでいます。
同じジリオン30周年企画として、本ブログも陰ながらこの企画を応援しております。
セガ マークIIIは当時大ヒットしていたファミコンより少し遅れて登場した家庭用ゲーム機。ファミコンよりも画面に使える色数が多いのが特徴で、タイトル前に登場するJ.Jなどは、ほとんどアニメのように描かれている。
ゲーム内容は「惑星Xのノーザ基地に潜入し、基地の奥に潜む敵ボスを倒せ!」というもので、初期設定の名残と思われる服装の違いや、ランドキャリッドに待機しているエイミなども含め、TV版の世界観とはかけ離れている。
しかしゲーム中の音楽はTV版のBGMを使用し、要所要所でキャラクターの顔グラフィックが表示されるなど、キャラゲーとしての満足度は高い。ちなみにゲームのメインBGMは3枚目のアルバム『ZILLION LET IT ROCK!』ではボーカル曲「Break a trap for yourself」として収録されているもの。持っている人は歌いながらプレイするのも一興かもしれない。
CD『ZILLION LET IT ROCK!』解説書より「Break a trap for yourself」の歌詞
また、ゲーム自体も戦略性の高いアクションゲームとしてキャラゲーの枠に留まらない良作……といえそうだが、当時のゲームにはよくあったように、このゲームにも元ネタがある。
アメリカEpyx社から発売されたパソコンゲーム『IMPOSSIBLE MISSION』(1984年)がその元ネタで、タイトルからも想像にされるように、「なお、このテープは自動的に消滅する」のセリフでおなじみのTVドラマ『MISSION IMPOSSIBLE(スパイ大作戦)』(1966年)のオマージュ作品となっている。同作は日本でもコンプティーク社からパソコン版が発売されていたが、特にセガとの間で訴訟問題に発展したという話は聞かない。『IMPOSSIBLE MISSION』はのちにセガ マークIIIの海外版であるMaster System用に移植されているので、そのあたりで手打ちになったのかもしれない。
コモドール64版『IMPOSSIBLE MISSION』動画
戦略性は高いものの、キャラの再現性には若干の難があった前作に続き、キャラクターの再現に重点が置かれた続編『トライフォーメーション』がのちに発売された。現代の大容量化・複雑化した家庭用ゲームとは異なり、当時のゲームは数ヶ月程度の開発期間でリリースされることも珍しくなかったとはいえ、全31話のアニメの放送中にゲームソフトが2本も発売されることは極めて稀な事例といえる。
※ライディングセプターからトライチャージャーのアーモレーターへ変形、という豪快なミスが見られる
ゲームのスタッフロールには、別格の大きさで「TOP DREAM」ロゴが登場している。アニメ版にも「プロジェクト協力」としてこのTOP DREAMがクレジットされており、ジリオンの後継企画『超音戦士ボーグマン』(1988年)にもその名前が見えることから、おそらくはセガ社内、またはセガと読売広告社とのアニメプロジェクトチームの名前ではないかと思われる。情報をお持ちの方はぜひご教示いただきたい。
アニメとゲームのTOP DREAMロゴ
セガ マークIIIは翌1988年には後継機となるメガドライブが登場しており、マークIII末期のキャラゲーが話題になることはあまりない。そのためか、マークIII版『ジリオン』『トライフォーメーション』ともに中古価格はこなれており、2017年現在も¥2000〜¥3000程度で入手できる。近年は各種オールドゲームが動作するプラットフォーム「レトロフリークス」なども出ているので、興味のある方はプレイしてみてはいかがだろうか。